魏志倭人伝に登場の奴国から出土の銅矛公開 橿考研付属博物館
九州北部を中心に出土し、弥生時代の権威の象徴とされる銅矛が橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)1階ロビーで31日まで公開されている。大阪府内の所有者から寄託された資料で、魏志倭人伝に登場する奴国の推定地の福岡県春日町(現春日市)の丘陵地から出土したという。
展示されている銅矛は、広形銅矛と呼ばれるタイプ。弥生時代後半の遺物で、長さ84・7センチ、幅11・5センチ、重さ1・96キロ。鋳造欠陥部分を後から補修した個所が2カ所あり、展示では赤い矢印で示している。
当初は武器だった銅矛は細形、中細形、中広形、広形と発展する中で、祭器に変化したと考えられている。長大な矛は「クニ」を治めた首長の権威の象徴とされ、展示されている銅矛は「首長の甕棺」と一緒に出土したという。
一般的に広形銅矛は九州北部や四国南西部、朝鮮半島などから見つかっており、近畿を中心にした「銅鐸文化圏」に対し、九州北部を中心にした「銅矛文化圏」があったという考えもある。同館では「銅矛文化圏を考える資料としてみてほしい」としている。
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