最後の矯正展にぎわう 杉良太郎さんらも視察 奈良少年刑務所
今年度中に受刑者の収容が停止されることが決まっている奈良少年刑務所(奈良市)で10、11日、刑務所の一部を開放し、刑務所製品の販売などを行う「第26回奈良矯正展」が開かれた。〝最後の矯正展〟を見ようと県内外から大勢の人々が訪れ、来場者は美しい建物を写真に収めるなどしていた。
地域住民に刑務所での教育や職業訓練内容を紹介し、理解を深めてもらう目的で毎年開催。近畿圏の刑務所で作られた革製の靴や、木製のおもちゃ、キッチン用品など、さまざまな製品を展示販売。子供用に、刑務官の制服のレプリカを着用する体験コーナーも設けられた。地域の支援団体などが出店する模擬店では、お好み焼きやソフトクリームなどが振る舞われた。
入場者は10日午前中だけでも3千人を超えたといい、同刑務所の岩本康彦総務部長(54)は「予想外の盛況ぶりに驚いている。奈良では最後だが、受刑者の社会復帰や刑務所の役割に興味を持ってもらうきっかけとなれば」と名残惜しそうに話した。
10日は特別矯正監を務める俳優で歌手の杉良太郎さんと、矯正支援官の女性ダンス・ボーカルグループ、MAXのメンバーも来所。設備や機能の説明を受けながら、訓練場や実際に受刑者が暮らす建物内を熱心に視察した。杉さんは「受刑者を入れておくだけの刑務所では意味がない。奈良少年刑務所のようなケアができる場所が重要」などと話していた。
刑務所見学に参加した橿原市の正垣佐和子さん(68)は「今年で最後だと聞いたので初めて訪れた。すてきな建物なので、今後どのように使用されるのか、興味があります」と話していた。
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