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【まちの近代化遺産】旧橿原文庫 建国の精神学ぶ知の拠点


 橿原神宮の外苑に位置し、各種の運動施設などが整備されている県立橿原公苑(橿原市畝傍町)。その北端に、かつて建国精神の修養場所と位置づけられ、多くの若者たちが勉学に励んだ建物「旧橿原文庫」(旧県立橿原図書館)が残っている。閉館し、県立図書情報館(奈良市)に引き継がれる平成17年まで、地域の書庫として多くの人々に親しまれてきた。

堂々とした風格漂う旧橿原文庫の建物

堂々とした風格漂う旧橿原文庫の建物

 橿原文庫は昭和15年、初代・神武天皇の即位2600年を記念した「奉祝記念事業」で、大運動場や野外公堂などを整備した「橿原道場」(橿原公苑の前身)の1施設として建てられた。橿原公苑の『創立五十年史』は橿原道場について、「八紘一宇の大理想顕現のため(中略)国民すべての心身鍛練の殿堂を目指すことを目的として建設された」と記す。中でも、橿原文庫は国史資料などを豊富に取りそろえ、建国の精神を学ぶ中枢施設の役割を担った。

 橿原文庫は木造2階建てで、真上から見ると十字形をしている。外壁に漆喰、腰回りには断面が三角形になった横木を取り付けた校倉風の造りで、東大寺の正倉院を連想させる。日本建築特有の入り母屋造りの屋根が建物の荘厳さを引き立て、「橿原文庫」と記された鬼瓦が設置されている。

「橿原文庫」と記された鬼瓦

「橿原文庫」と記された鬼瓦

「橿原文庫」と記された鬼瓦

「橿原文庫」と記された鬼瓦

 県立図書情報館の図書・公文書課総合サービス係長、鈴木陽生さん(58)は「築80年近くたつが、屋根を支える梁がすごく立派」と目を見張る。

 開館当初、約6千冊を蔵書していた橿原文庫は昭和45年、「県立橿原図書館」と改称し、公苑から独立。当時は県南部東部地域に図書館が少なく、各地をめぐって本を貸し出す「巡回文庫」を実施しており、「地域館としての役割を果たしていた」と鈴木さんは振り返る。

 鈴木さんは平成11~13年まで司書として同館に勤務。貴重な資料が多数そろい、「皇室が発行するものはほぼすべて網羅していた」という。一方、季節によって寒暖差が大きく、湿度調整などの難点もあったという。

かつて閲覧席や開架書棚が設置されていた図書室。現在は橿考研の出土物などが保管されている

かつて閲覧席や開架書棚が設置されていた図書室。現在は橿考研の出土物などが保管されている

 平成17年3月に閉館後は、橿原文庫時代からの蔵書約9万冊は県立図書情報館に引き継がれた。現在、建物は橿原考古学研究所が管理。館内は調査資料や出土品の保管場所になっている。今は生い茂る木々と柵の合間から、ひっそりと建つ建物の威容が垣間見える程度で、許可なく内部に立ち入ることはできない。

 「中南和の図書館奉仕を支えてきた1つのモニュメントとして、長く残ってもらえればうれしい」と鈴木さん。当時の価値観や時代の移ろいを刻んだ近代和風建築として、今後の利活用にも期待がかかる。(浜川太一)

建物中央のホールには天窓があり、太陽光が柔らかく差し込む

建物中央のホールには天窓があり、太陽光が柔らかく差し込む

◇ひとくちメモ

 旧橿原文庫の特徴的なコレクションの1つが、万葉集関連の資料を豊富にそろえた「万葉文庫」。約2500冊は「県立万葉文化館」(明日香村)に移管されており、和装本など一部の希少本を除き閲覧も可能。問い合わせは、万葉文化館(☎0744・54・1850)。ホームページはhttp://www.manyo.jp/

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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