奈良伊賀地域で産経新聞の購読試読・求人案内。

産経新聞 奈良県伊賀地区専売会産経新聞 奈良県伊賀地区専売会

産経新聞グループ各紙のご購読はこちら 0742-24-2214

専売会について専売会について各専売店の紹介各専売店の紹介地域貢献地域貢献求人内容求人内容購読・試読サービス購読・試読サービス

sanbai-02.jpg

【大和の郷土料理】(下)新年の幸せ祈る、おめでたい「柿なます」「大和雑煮」


 「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」―。正岡子規の有名な俳句にも登場する柿。民家の軒先から顔を出す鈴なりの濃いオレンジ色の実は、晩秋の古都の景色に彩りを添えてくれる。

柿が鮮やかな彩りを添える「柿なます」(県提供)

柿が鮮やかな彩りを添える「柿なます」(県提供)

 奈良では古くから、おせち調理の一品である紅白なますに、渋柿を刻んで入れた「柿なます」が食べられてきた。奈良市の「わかばね調理専門学校」で、日本料理を生徒に教える田中賀洋子校長(66)は、「高級品だった砂糖の代わりに、渋柿の甘みを生かそうと、昔の人が考え出した郷土料理」と説明する。

 県内の多くの家庭では、鏡餅の飾りに用いられた吊るし柿を年が明けてから刻み、おせちの紅白なますに加えていたらしい。「なますのさっぱりとした風味に、渋柿の独特の甘みがいいアクセントを出す」という。

 柿なます以外に「干し柿の天ぷら」なども編み出した先人に、「調味料がなくても工夫し、おいしい料理を作ってきた昔の人は偉かったんですね」と田中校長。「家族そろって新年をお祝いしながら食べたい料理です」と話した。

だしで煮込まれる雑煮の具材

だしで煮込まれる雑煮の具材

 新年を迎える準備に欠かせない餅。関西風の雑煮といえば、白みそ仕立てに丸餅が入った具だくさんの雑煮だが、奈良は少し異なる。白みそ仕立てが主流ではあるが、大和雑煮の隣には、きな粉が入った小皿が用意される。焼いた丸餅が入った椀から箸で取り出し、きな粉につけて食べるのだ。

 NPO法人「奈良の食文化研究会」の瀧川潔理事長(72)は、大和雑煮(きな粉雑煮)には「新年の豊作を願う人々の思いが込められている」と話す。奈良では昔から、稲穂の色に似たきな粉を雑煮に添えることで豊作の縁起をかついだり、きな粉を「金」に見立てて新年を祝ったという。

 同研究会のメンバーで、「典型的な『大和のお母さん』」と周囲に評される上田邦子さん(77)は、生まれも育ちも河合町。自宅の雑煮は、岡山県出身の父親の影響ですまし仕立てだったが、隣には必ずきな粉を入れた小皿がセットでついてきたという。上田さんは「汁に落とした焼き餅が柔らかくてたまりませんね」と目を細めた。

きな粉の小皿がセットでつく「大和雑煮」

きな粉の小皿がセットでつく「大和雑煮」

 研究会が作ってくれた大和雑煮を、記者も初めて食べてみた。白みそで煮込まれた焼き餅を椀から取り出し、そっときな粉につけて口に入れると、みそときな粉の甘さがうまく絡み合い、くせになるおいしさだ。

 「決して表舞台に出るような華やかさはないが、大切に守り伝えられてきたのが奈良の郷土料理」と話す上田さん。「各家庭によって味付けが変わる雑煮。わが家の味として、これからも丹精込めて作り続けていきたい」と笑顔を見せた。

 家族が集まって「わが家の味」をともに楽しむ年末年始。先人が生活の中で編み出した知恵や願いが込められた郷土料理は、これからも脈々と伝えられていくだろう。

 この連載は、浜川太一が担当しました。

(クリックで拡大)

(クリックで拡大)

【関連記事】

【大和の郷土料理】(上)野菜のうま味たっぷり おん祭のごちそう「のっぺい」

【大和の郷土料理】(中)海の魚を工夫する先人の知恵 サンマなれずし

そうめん、そば、うどんが勢ぞろい 桜井で三麺サミット、神話が縁結び

〝売り〟は大和の山々の景色 奈良ホテル日本料理・花菊 新装開店へ

もっと知りたい奈良の食べ物 「柿博士」が特別講座で秘密語る

 (関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

求人情報求人情報
購読・試読のお申込み購読・試読のお申込み
お問い合わせお問い合わせ

産経新聞各紙
産経新聞産経新聞
サンスポサンスポ
Business iBusiness i
夕刊フジ夕刊フジ

グループ各紙
月刊TVnavi月刊TVnavi
MOSTLYMOSTLY
正論正論
週刊ギャロップ週刊ギャロップ

産経でんき産経でんき


読もうよ新聞読もうよ新聞

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。