橿原市中心部どう変わる? 「3大事業」を検証する
橿原市が新たな街づくりをめざして県立医大周辺、近鉄大和八木駅北側、市役所本庁舎整備-という市中心部での「3大事業」の検討を進めている。医大周辺整備では県や近鉄と共同で医大の玄関口となる近鉄橿原線の新駅建設が計画され、大和八木駅北側では市営立体駐車場の撤去後、地下駐車場設置がとりざたされている。事業完成時期は未定だが将来、市中心部の様相が大きく変わりそうだ。(野崎貴宮)
■医大前に新駅
荒井正吾知事は9月の県議会一般質問で、医大新駅について「整備費を地元が全額負担する請願駅ではなく、近鉄も応分の負担をする方向で前向きな協議をしていくことで合意を得た」と答弁。近く県、橿原市、近鉄の3者による協議の場が設置され、話し合いが始まるという。
県と橿原市は今年3月、街づくりの包括協定を締結。構想によれば新駅は、近鉄橿原線が国道陸橋と立体交差する付近に設けられる。同時に、周辺交差点の大改造も実施される。
橿原市では街づくりのコンセプトとして「医大・付属病院を核とするキャンパスタウンの形成」を掲げており、駅周辺に商業ゾーンや福祉・文化ゾーンなどの設置が構想されている。
森下豊市長は「(県立医大付属)病院を訪れる人たちが雨が降ってもぬれずに、バリアフリーで病院に行けるようにし、学生のみなさんにも利用しやすい駅にしていきたい」としている。県立医大は平成33年までに現在の場所から西約1キロに移転する予定で、市は大学へのアクセス道路となる市道を拡幅整備する計画だ。
■地下駐車場構想
近鉄大和八木駅北側には現在、車270台や自転車1300台がとめられる市営立体駐車場があるが、景観上の問題などから撤去が決まっている。市はこれまで、代替駐車場は建設しない方針だったが12月の市議会で方針を変更、代替駐車場建設を検討することを明らかにした。
代替施設が同じような立体駐車場になるのか、地下駐車場になるのかはまだ未定という。整備構想では、橿原文化会館南側の市有地は「有効活用」すると示されており、同館周辺を含む候補地が検討されることになるとみられる。市営立体駐車場を撤去した跡地は、広場などになる予定だ。
■本庁舎も整備
近鉄大和八木駅南側に計画されているホテルが入る新庁舎(10階建て)については、基本設計を終了。28年春に起工式が行われ、30年春にオープン予定だ。総工費は約97億円で、この庁舎には市民サービス窓口の計12課が入る。
市では新庁舎完成後、昭和36年建設で耐震性が低い本庁舎の整備に着手する。建て替えか、増築部分を撤去しリノベーションする2つの方法が検討されており、「大和八木駅周辺地区まちづくり検討委員会」などに諮りながら工法を決めるという。
建て替えの場合は60~70億円が必要とみられ、新庁舎と同じように民間資金を活用するPFI事業で建設する可能性もある。完成後は市内に分散する市教委や保健センターの部局を集約する計画。整備のため、本庁舎南側の私有地の取得をめざし、交渉を進めている。
市は大和八木駅の周辺整備は総合的に検討する方針で、西田喜一郎・政策審議監は「コンパクトシティーの一番の中核。道路網などを含めてきちんと整備し、市民にとってわかりやすく、使いやすいようにしていきたい」としている。
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