元気な農業発信でにぎわい作りしたい 県が「農林ジャーナル」発刊
県の農村をもっと元気にして、にぎわいづくりにつなげようと県農村振興課が冊子「県農林ジャーナル」を発刊した。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)による影響も見据え、県内農業の活性化を図るのが目的。地域の画期的な取り組みを取り上げており、農家や農業団体に参考にしてもらうとしている。
初回の今号では、地域のにぎわいづくりの取り組みとして、天理市萱生町で行われている柿のオーナー園と、田原本町多地区での田んぼの活用方法を紹介。同市萱生町の柿園は、耕作放棄された農地を活用して整備されたもので、平成24年度に柿の木オーナー制を導入。柿の木1本を一口として、1年間のオーナーを募っている。
オーナーになると、2月の剪定や10月の収穫など、節目ごとに自然とのふれあいを楽しめるのが魅力。今は募集の約3倍の応募があるほど人気で、4年目には41組がリピーターだったという。
「こうした取り組みを情報発信することで、それぞれの地域で農村活性化のための新たな発想が生まれ、活動につながっていけば」と同課の担当者は期待する。「今後、人口減少が進むことにより各自治体の地方創生の取り組みの重要性は増してくる。人の交流を増やし、人が住み続けられる農村づくりを目指したい」としている。
冊子は無料で5千部を作成。第2号は来年度に発刊予定という。県の関係機関や農業団体などに配布しているほか、県農村振興課のホームページ(http://www.pref.nara.jp/1670.htm)でも閲覧が可能。詳しくは同課(☎0742・27・7453)。
農業県のようで、そうではなかった 農業産出額は全国44位
県農林部がまとめた平成27年度県農業の概要によると、県内の農業産出額は昭和59年の692億円をピークに減少傾向にあり、25年は約432億円と全国44位だった。
農業産出額の上位5品目は米、柿、生乳、イチゴ、ホウレンソウ。なかでも、柿の収穫量は全国2位で、県は「県産農産物のブランド化を進め、生産・販売の拡大や意欲ある担い手と協働して農業の振興を図る必要がある」としている。
また、県内の総農家戸数は2万8563戸(22年)で、12年から徐々に減少している。うち52・7%が、農産物販売額が年間50万円以上などの「販売農家」。一方、農業法人数は17年が26件だったのに対し、25年は85件と増加した。今後は高齢化が進む農家の後進育成とともに、企業も含めた新規参入の推進が課題となっている。
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