火葬場移転 再議でもダメ 環境影響調査費以外認めず 奈良市議会
奈良市議会は30日、本会議を開き、仲川げん市長が再議に付した平成28年度一般会計当初予算案の修正案を賛成26、反対12で再可決した。当初予算案からは、火葬場移転関連費用など12項目から計約1億300万円が削減された。また、地域自治協議会の設置に関する条例など3件を否決、65議案を原案通り可決し、3月定例会は閉会した。
修正案は、最大会派「奈良未来の会」と「自民党」(各8人)が共同提案。火葬場の関連予算7700万円のうち、アクセス道路の予備設計費など4800万円を削減したほか、「なら国際映画祭」への補助金(1260万円)、レズビアンやゲイなどの性的少数者(LGBT)の旅行を支援する国際団体「国際ゲイ&レズビアン旅行協会」(本部・米フロリダ州)への加盟料を含む観光客誘致事業費(約200万円)も全額削減された。
仲川市長は可決後、「再議でも認められなかったことは重く受け止めている」と述べたうえで「指摘をしっかり考え、火葬場は1日も早い住民合意を最優先にして、予算を議会にはかっていく」と、補正予算案への計上を目指す考えを示した。
職員「コピー1枚とれない」 火葬場移転関連事務費出ず
環境影響調査費を除く4800万円が当初予算案から削減された火葬場移転関連費。仲川市長が「新斎苑議会だった」と振り返った3月定例会だったが、修正案を提案、可決した議会側も具体的な対案は示していない。減額により、火葬場に関連した事務経費すらゼロとなっており、担当課からは「コピー1枚とれない」と悲鳴が上がっている。
削減されたのは、火葬場へのアクセス道路橋梁予備設計費(2800万円)や新斎苑アドバイザリー業務委託費(1200万円)のほか、事務用消耗品費(50万円)や説明会会場使用料(31万円)など、地元住民への説明に不可欠な費用も含まれる。担当課は「これでは住民説明のための資料すら作れない」といい、「必要な業務が遂行できるよう、対策を検討する」とした。
約56億円とされる建設費には合併特例債を充てる予定だが、32年度末までの工事完了が条件。逆算すれば、28年度中の都市計画決定と用地取得が必須だが、都市計画決定には最低でも半年かかるという。担当者は「6月補正で予算が付かなければ、かなり厳しい状況になる」と明かす。
仲川市長は「地権者が1人で250メートル以内に住宅がないという条件は他の土地では極めて厳しく、今の計画地が最適」と改めて主張。「来年度中の用地取得を目指す」とした。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)