被葬者突然の死で〝既製品〟で間に合わせた? 陶棺入りきらず脚切除か
皇族クラスの人物の墓とされる竜田御坊山3号墳(斑鳩町、7世紀)の石槨(せっかく)におさめられていた陶棺(とうかん)の脚(21本、いずれも直径約10センチ)が埋葬前にかなり切断され、棺の高さを低くしていたことが橿原考古学研究所の調査でわかった。そのままだと高すぎて、石槨に入らないため、高さを低くしたらしい。
竜田御坊山3号墳の陶棺(長さ約1・6メートル、幅約48センチ、高さ約47センチ)は昭和40年に発見され、17日まで石槨や副葬品とともに橿考研付属博物館で公開中。公開に合わせ橿考研の前田俊雄・主任研究員らが詳しく調べたところ、陶棺のすべての脚で切断面が確認された。現存する脚の長さは最高約5センチだが、製造時は15~20センチあり、10センチ以上切断されたとみられる。
一方、陶棺が入っていた石槨内部の高さは約52センチ。もとのままでは陶棺が高すぎて入らないため、脚を切断して低くし、入れられるようにしたらしい。また、棺の本体と蓋もうまく組み合っておらず、別々につくられたものをセットで利用した可能性があるという。橿考研は「被葬者が突然死去し、棺が急遽必要になったことから、『既製品』で代用したと考えられる」としている。
同古墳で見つかった副葬の硯や筆の一部とみられるガラス管は遣唐使でもたらされた輸入品と考えられ、被葬者はかなり高位の人物とみられている。研究成果は9日午後1時半から、橿考研講堂で開催される講演会で発表される。
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