〝相棒〟と挑むリオ五輪 総合馬術で初出場の北島隆三選手
今年8月に開催されるリオデジャネイロ五輪の総合馬術競技に、県立山辺高校出身の北島隆三選手(30)=乗馬クラブクレイン所属=が初出場する。中学生のころから目指した大舞台に向け、現在は英国で最終調整に入っている北島選手は電話取材に、「できることを精いっぱいやりきりたい」と抱負を語った。
神戸市出身。小学5年生のころ、テレビで見た競馬中継で騎手にあこがれ、両親に頼んで乗馬クラブに入会。身長体重とも増えたため、騎手の夢は断念したが、人馬が一体となって障害物を乗り越える馬術競技に興味を持ち、五輪出場の夢を抱くように。競技向けの練習ができる「クレインオリンピックパーク」(天理市福住町)に通うため、近くにある県立山辺高校(奈良市都祁友田町)に入学、鍛錬を重ねた。
明治大に進学すると、初出場した総合馬術競技で2年連続1位に輝くなど、頭角を現した。クレイン入社後も強化指定選手に選ばれ世界規模の大会に出場。実績を積み重ねた。
昨年1月から、馬術競技の本場・英国に活動拠点を置き、日夜、馬につきっきりの生活を送る。平日は午前7時から厩舎の掃除や馬の餌やりを始め、8時半~午後2時ごろまで計3頭の馬に交互に乗ってトレーニング。週末は、毎週のように開かれる大規模な大会に出場し、技術向上を目指す毎日だ。
少年時代からとりこになった馬の魅力について、北島選手は、「疲れているときはぼーっとしているし、試合前は鼻を膨らませ目を見開いて興奮している。日々さまざまな表情があり、そこは人間と同じですね」と話す。現在の相棒は、ニュージーランド生まれのアイリッシュ・スポーツホース「ジャストチョコレート」。些細な音にも敏感に反応する神経質な性格だが、「周囲の状況に注視し集中力がある」という。
今年3月、個人枠での五輪出場権を獲得。「結果が出るまでどきどきしていたが、決まった瞬間はほっとしました」と振り返る。滋賀県甲賀市に住む妻の笑子さん(38)と2歳、5歳のまな娘の存在が、メンタル面での一番の支えだ。「他の選手に比べ経験は浅いが、人馬ともに最高の状態で挑戦したい」。念願の舞台を前にこう語った。
■総合馬術競技 馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3種目を同一人馬で3日間かけて行う競技。3種目の減点合計が少ない人馬が上位となる。人馬ともに高い能力と技術が要求され、クロスカントリーでは6キロにも及ぶコースを竹柵や池など40を超える障害物を乗り越えながら疾走する。
【関連記事】
【月刊ならスポ】海なし県初のカヌー代表・棚田大志選手 東京五輪でメダルを
【月刊ならスポ】おばあちゃんに続け、走り幅跳びの吉岡里紗さん 目指すは東京五輪
【月刊ならスポ】究極のロープスポーツ「ダブルダッチ」、世界制覇の女子中生4人
【月刊ならスポ】「結果出せた。将来は欧州へ」、奈良北高自転車部主将・吉岡さん
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)