認知症で行方不明、5・4%増 県警まとめ サポート対応強化へ
県警は、昨年1年間で認知症やその疑いが原因で行方不明になったとする届け出が、前年比5・4%増の195件・人だったと発表した。県警ではこうした事案に適切に対応するため、認知症サポーター養成講座の受講を推進。これまで職員の過半数の1480人が受講し、対応の強化を図っている。
県警によると、平成27年の行方不明者届は前年比1・7%減の計千件(男性625人、女性375人)で、うち910人が同年中に所在が確認された。26年以前に届け出があった分を含め、27年中に所在が確認されたのは996人で、前年より5・0%減少した。
年齢別では10代が最も多い218人(21・8%)、20代が164人(16・4%)と続いた。ただ、70代以上では計258人(25・8%)にも上った。
また、原因別では「疾病関係」が最多の276人(27・6%)。うち、「認知症やその疑いがある人」は195人(男性115人、女性80人)と7割を占めた。認知症が原因とされる行方不明のうち、194人の所在が確認されたが、うち6人は亡くなっていた。
機転で保護例も。警察だけでは手が回らないのが実情
65歳以上の高齢者の約4人に1人が「認知症とその予備軍」とされる昨今。県警は認知症サポーター養成講座の受講を積極的に進めているが、早期発見と無事保護には関係機関の連携が重要だ。
昨年11月下旬。御所市内で、80代男性の行方不明者届が家族から県警に提出された。不明になったとされる時刻は、午後3時ごろ。約4時間後、市内で捜索にあたっていた県警の自動車警ら隊員2人が、手ぶらで1人歩く男性を発見した。
男性は身元を確認できるものを持っていなかったが、隊員は認知症サポーター養成講座で学んだ「目線を合わせ、一般的な会話から声かけする」といった対応要領を実践して男性を特定、無事保護したという。県警人身安全対策課は「適切な対応ができるよう、基本事項をきちんと学んでもらう」と、今後も受講推進を図るという。
一方、「警察だけでは手が回らないのが実情」との指摘も。早期発見や保護には行政や関係機関との連携が必須といい、県警は「自治体の個人情報登録カードなどを積極的に利用して」と呼びかけている。
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