平城京貴族の邸宅跡出土も「記録保存」のみ ホテル建設計画は予定通り
県が高級ホテルやコンベンション(会議場)施設を計画している奈良市役所南側の県有地で、県立橿原考古学研究所の発掘調査で奈良時代後半の邸宅跡が見つかった件で、県は記録を残した上で開発する「記録保存」とすることを決めた。結果次第では建設条件やスケジュールに影響が出る可能性もあったが、県企業立地推進課は「計画を予定通り進めていきたい」としている。
ホテルやコンベンション施設などは、奈良署跡地と県営プール跡地の計約3万1千平方メートルに建設が計画されている。発掘調査が行われたのは奈良署跡地の約8千平方メートル。平城宮跡南東の〝一等地〟なだけに発掘結果には注目が集まり、荒井正吾知事は10月下旬の記者会見で、「保存の必要性が出れば、ホテルの柱の位置が変わる可能性もある。費用の増加があれば県が追加負担する」と話していた。
しかし、橿考研による調査結果を受け、県教委文化財保存課は1日付で「これまでの平城京内の調査事例と比較して、特に顕著な遺構遺物は認められない」とし、「通常の発掘調査同様、詳細な記録を作成し保存することにする」とする文書を出した。
計画の変更なく進められることが決まったホテル誘致事業。県企業立地推進課によると現在、ホテル建設事業者の森トラスト(東京)が、ホテル運営事業者と正式契約へ向けた交渉を進めている。ただ「本契約に向け多岐にわたる項目の交渉を行っており、一筋縄ではいかない」(関係者)状況といい、ホテルブランド名の決定はまだ先となりそうだ。
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