職場に掲示した台帳? 奈良時代の役人の名簿木簡出土
平城宮跡(奈良市)の西側から出土した奈良時代の井戸の枠板に使われていた材が、下級役人ら四十数人の名前や位階、役職を書き連ねた木簡だったことが奈良文化財研究所(同市)の調査で分かった。職場に掲げた名簿のようなものといい、役所の構成人員がまとめて記された木簡が確認されるのは初めてという。
木簡は昨年から今年2月にかけ行われた発掘調査で見つかりその後、解読が進められていた。上部は欠けており、長さ118センチ、幅14センチ。楷書で6段以上にわたって人名などが列記され、1段には7、8人分の名前などが並んでいる。
「大初位下依智秦公□□」や「直丁十市部古麻呂」「造油絁生大市首君足」など位階、役職に続けて名前が丁寧に記載。技術職が含まれるのが注目され、渡来した技術者集団の秦氏系らしい名が多いのも興味深いという。出土地付近が木簡に関係する施設だったか、井戸枠の材として他から持ち込まれた可能性があるという。
奈良文化財研究所の渡辺晃宏・史料研究室長は「いずれかの役所で働く人たちを書き上げ、職場に掲示した台帳のようなものではないか。初の事例だろう」と話している。調査結果は出土木簡の概報に掲載された。
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