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【まちの近代化遺産・再録】国内最古の吉野山ロープウェイ


 修験道など、信仰の山としても知られる吉野町の吉野山。観光客をふもとから金峯山寺などの近く「下千本」まで、毎日休まず運んでいるのが、「吉野山ロープウェイ」だ。昭和4年の開業以来、部品の交換以外はほとんどそのまま運行されており、国内では現存する最古のロープウエーとして、観光客を運び続けている。

客車は新しくなっても、駅舎や鉄柱は昔のままだ

客車は新しくなっても、駅舎や鉄柱は昔のままだ

 昭和2年、吉野山のふもとから大峰山まで、約36キロのロープウエーを通すという壮大な構想のもと、創業者の内田政男や地元有志の手によって、運行会社「吉野大峯ケーブル自動車」が立ち上げられた。

 当時、日本ではロープウエーといえば鉱山ぐらいでしか使われていなかったが、スイスなどでは旅客輸送にも利用され始めていた。内田恭社長は「内田政男がロープウエーの写っているスイスのポストカードを見て、日本にも導入したいと考えた」と明かす。

 実際には、ふもとの千本口駅から吉野山駅までの約350メートルだけは試験的に運行する許可が下りたものの、大峰山までの構想は実現しなかった。

 現在では桜の季節など多くの観光客でにぎわうが、内田社長は「電車や車でもなく、空を移動するということで怖がられ、開業当時はなかなか利用者が増えなかったそうだ」と明かす。

 それでも、吉野山にあった学校に通学する児童、生徒や、ふもとに降りて通勤する住民の生活の足として利用された。戦後は観光にも利用されるようになって昭和30~40年代にはピークを迎え、年間の利用者は現在の3倍近くの30万人に上った。

 今ではあちこちの観光地にあるロープウエーだが、戦時中は鉄の供出を求められ、全国各地で姿を消していった。吉野山では、現在の吉野町、大淀町、下市町などの住民が中心となって反対運動を展開し、供出を免れたという。

終点の「吉野山」駅舎内にあるロープウエーの駆動設備。武骨な滑車がワイヤーを引き上げ、客車を動かしている

終点の「吉野山」駅舎内にあるロープウエーの駆動設備。武骨な滑車がワイヤーを引き上げ、客車を動かしている

 内田社長は「創業当時から多くの人に協力してもらったため、『地元の財産』と思ってもらえたのでは」と話す。

 こうした経緯から現存する国内最古のロープウエーとなった「吉野山ロープウェイ」。当時のわが国の技術の優秀さを示しているとして平成24年には、一般社団法人「日本機械学会」から「機械遺産」にも認定された。

 自動化されてボタンだけで運転できる現在のものとは違い、吉野では創業当時と同じように、吉野山駅にいる運転士が1人で運転している。ふもとの千本口駅に立つと、山を登っていくように鉄柱が立ち、ロープを引っ張る滑車は、武骨にたたずむ。

 内田社長は「もちろん古くなった部品は交換しているが、機械や運行方法も含めてほとんどは昭和初期のままで残っている」と話す。

 ヨーロッパで始まり、当時は最先端の技術だったロープウエーの旅客輸送。運行会社や地元住民に守られ、創業当時そのままの〝レトロ〟な姿で、観光客を力強く運んでいる。

※平成26年9月に奈良版でスタートした「まちの近代化遺産」を再録します。文中の年齢や肩書き等は掲載時のままです。

 ■吉野山ロープウェイは平成28年2月29日までの土曜、日曜、祝日を除く平日は点検整備や冬季期間で運休される。 吉野大峯ケーブル自動車のホームページはhttp://www.yokb315.co.jp/top.htm

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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