【ふるコレ】天平人になりきって古代の宮廷料理堪能も 奈良市の返礼品に追加
県庁所在地であり、世界遺産「古都奈良の文化財」を構成する社寺を持つ奈良市。「ふるさと納税」が始まった平成20年度から寄付を受け付けてきたが、当初の返礼品は仏像の写真や美術館の入場券など、〝地味〟なものばかり。寄付は初年度に73件(約275万円)、3年目の22年度は26件(約213万円)と低迷が続く一方で市外への寄付は26年には621件、約5500万円にも上り、「大幅な〝貿易赤字〟のような状態」(仲川げん市長)となっていた。
こうした危機感から、27年6月から返礼品を一挙に20点追加。100万円を超える高額寄付者も想定し、伝統工芸の一刀彫のひな人形や、赤膚焼の特大茶碗などを用意した。その後も返礼品を増やしたところ効果は抜群で、同年末で前年の40倍以上に当たる約2億4千万円の申し込みがあったという。
年間目標額を3億円とする同市が2月1日から返礼品として追加するのが、「奈良パークホテル」で提供されている1300年前の貴族の食事を再現したという宮廷料理「天平の宴」だ。
「奈良でしか食べられないものを」と約30年前、同ホテルの料理長が奈良文化財研究所などの協力を得て、発掘調査で見つかった木簡の記述などから再現。現代人にも食べやすいようにアレンジも加えたという。牛乳を12時間煮詰めて作る奈良時代唯一の酪農食品「蘇(そ)」や、サメとシャケの干物「楚割(すわや)り」、赤飯のルーツとされる「赤米」など、まさにここでしか食べられない料理が並ぶ。
食事場所は、1300年前の貴族の屋敷を模した「大宮の間」。天平時代の衣装を着て食べることができ、身も心も天平人になりきって楽しめる。
市は5万円以上の「ふるさと納税」に、この「天平の宴」のペア食事券を贈呈。また、2万円以上の納税には、同ホテル内の大和料理「萬佳奈良店」で提供される鑑真和上ゆかりの中国・大明寺の精進料理「和上御膳」のペア食事券が贈られる。(桑島浩任)
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