中小企業と学生がタッグ 実践するインターンシップとは? 「ならゆうし」の挑戦
中小企業と学生がタッグを組み、経営革新につながる事業を展開する―。大学生らにこうした「実践型」のインターンシップを提供しているNPO法人がある。奈良市の「ならゆうし」。若い力を生かして新規事業立ち上げや業務改善を図りたい奈良の中小企業と、主体的に事業に挑戦して今後のキャリア設計に役立てたい学生の〝橋わたし〟を行い、地域活性化につなげようと活動している。
■農業ベンチャーの挑戦
「店頭でイチゴを食べ比べてもらう『苺総選挙』はインターネットでも話題になったし、好評だったね」
2月初旬。農業のベンチャー企業「大和アグロファーム」(大淀町)代表の竹島和宏さん(48)と「ならゆうし」の春田千尋さん(27)、インターン生の県立大学2年、松村聡志さん(21)が大和郡山市の同社事務所で話し合っていた。
竹島さんは約20年にわたり県中央卸売市場で働いていたが、「生産者と消費者をつなぐ農業」を目指して平成26年に同社を創業。種の開発から生産、流通、販売を一本化して行う体制で、農作物のブランド化やノウハウの共有化など新たな事業に挑戦している。「若い新しい空気を会社に取り入れたい」と昨春、インターンシップ生の受け入れを決めた。
松村さんは今年1月末までの約半年間、同社が京都市で経営する直営店で「副店長」となりマーケティングやイベント企画、商品開発などに携わった。「学生のときに何か1つやり遂げたくて参加した。自分で企画立案したり、改善点を提案したりするのはとてもやりがいがあった」と振り返る。
■野菜のラベルづくりも
松村さんが副店長として働いていたのは、三条京阪駅構内にある直営店。店に勤務しながら毎月新しい企画を打ち出していった。
1月には「古都華」や「あすかルビー」など5種類のイチゴを試食し、好みのイチゴに投票してもらう消費者リサーチイベント「苺総選挙」を開催。インターネットでも情報発信したところ、100人以上が来店する盛り上がりを見せ、売り上げも普段より2割アップした。
ほかにも同社が種から手がけた丸みのあるダイコン「あじまるみ大根」のPRや、ラベルも作成。松村さんは「失敗した企画もあるが、改善しながら次へとつなげていき勉強になった」と手応えを話す。
■求む!学生の本格挑戦
実践型インターンシップの魅力は、学生にとっては新規事業の立ち上げなど本格的な挑戦ができるところ、企業にとってはインターン生とともに経営革新につながるプロジェクトが行えるところにある。
これまで27社の企業に、延べ36人の学生が参加。春田さんは「インターンシップは地域を活性化させ『仕事を創ること』、『仕事を創る力を持つ若者を育成すること』が目標。奈良の発展につながれば」と話している。「ならゆうし」では現在第6期の実践型インターンシップの参加者を募集中。
詳しくはホームページ(http://narayushi.com/)。(有川真理)
【関連記事】
元気な農業発信でにぎわい作りしたい 県が「農林ジャーナル」発刊
【奈良移住物語】森と人の優しさが糧 黒滝村で17年「理想の暮らし」
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)