庶民の生活いきいきと 旧家の古文書解読 奈良市の「歌姫町文書研究会」
故郷の歴史を探るとともに広く伝えようと、平城宮跡の北に位置する奈良市歌姫町の高齢者らでつくる「歌姫町文書研究会」が、庄屋だった旧家に残る古文書を解読、紀要「歌姫春秋」として初めて発刊した。江戸時代の古文書を中心に掲載。村の全体像を知る明細帳や五人組帳のほか、往来手形や紛失届などもあり、当時の暮らしぶりがうかがえる。
歌姫町は「歌姫越」という大和と山城(京都府南部)を結ぶ古道が通る歴史ある土地。古い住宅や農地、山林が広がっている。
平成25年春、同町の高齢者らが、「たばこ屋の先生」と呼ばれる元中学校長、中島弘さん(88)の庄屋だったという自宅に集まり、古文書の解読作業を開始。中島さんを会長に研究会を発足させた。メンバーは14人で、月1度は集まって試行錯誤を繰り返した末、14点の古文書について解読文や解説などを記した紀要発行にこぎつけた。
紀要(129ページ)に掲載された往来手形は、村の「文吉」という52歳の男性が旅に出る際の「パスポート」。代々浄土真宗で、病死した場合は故郷への連絡は不要、その所の作法による処置を依頼している。このほか、虚無僧が村内に入り金品を所望するという事態に書かれた本山への願書、地元の西光寺の什物が盗まれた際の紛失届などが紹介されている。
中島会長は「奈良では小さな田舎の暮らしはあまり発信されていないので、取り組んでみた。古文書からはおもしろい話がいっぱい出てくる」とし、2冊目の発行準備も進めているという。
紀要は1部1500円(送料必要)で販売もしている。問い合わせは吉村さん(☎0742・33・6757)。
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