「歴史の重み感じて」 天理軽便鉄道のレール展示へ 大和郡山の昭和地区公民館で
大正4年~昭和20年ごろまで、地域住民の足として県内を東西に走っていた「天理軽便鉄道」のレールの一部が、4月1日から大和郡山市の昭和地区公民館で展示される。
同鉄道は小型の車両を使い、新法隆寺―天理間の9キロを結んだ簡易鉄道。大正10年に大阪電気軌道(近鉄電車の前身)が買収後、戦況悪化などからレールが金属供出のため撤去され、昭和27年に路線廃止となった。
残っていたレールの一部は近鉄郡山駅ホームの屋根を支える柱に再利用されたが昨年9月、改修工事に伴い撤去。鉄くずとして処分予定だったレールを、大和郡山市観光ボランティアガイドの加藤豊二さん(69)と楠本冝敏さん(72)が「鉄道の近代史を伝える歴史遺産として残そう」と、近鉄側から譲り受け、同市に寄贈した。
展示されるレールは長さ80センチと63センチ(幅はいずれも8センチ)で、現存する唯一の2本。それぞれに「CARNEGIE 1914」の刻印があり、鉄道開通の1年前の大正3年、米国の「USスチール・カーネギー鉄鋼会社」で製造と判明している。加藤さんは「貴重な歴史遺産が消えてしまうのを避けたかった。現物のレールから歴史の重みを感じてもらえれば」と話している。
開館は午前9時~午後9時(利用者不在の場合は午後5時まで)。水曜、祝日休館。問い合わせは昭和地区公民館(☎0743・56・0015)。
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