大学生とともにつくった酒で十津川村を活性化 純米酒「谷瀬」発売へ
新しい特産品をつくって村おこしにつなげようと、十津川村谷瀬の住民が奈良女子大と県立大の学生らの協力を得て、休耕田を利用して酒米を栽培。村初の純米酒「谷瀬」を完成させた。今後毎年、谷瀬産の酒米で酒造りを行い、将来的には村の「ブランド品」に育てたいという。
谷瀬地区は村北部にある集落。十津川(熊野川)にかかる鉄線橋・谷瀬の吊り橋(297メートル)は、生活用鉄線橋で日本一の長さを誇る。
だが、過疎化で地区のにぎわいが失われていることから、「酒好き」という副総代、北谷忠弘さん(77)らが酒造りを提案。地区の住民が昨年、休耕田(約1200平方メートル)で酒米の「吟のさと」を育て、約540キロを収穫。この米をもとに、888リットルの純米酒をつくった。
田植えや稲刈りの農作業には、ゼミの活動で村づくりを支援する奈良女子大と県立大(いずれも奈良市)の学生らが協力。醸造では美吉野醸造(吉野町)が協力した。
十津川村産の酒米を使って純米酒が造られるのは初めて。さっぱりと飲みやすく、「谷瀬」と名付け一升(1・8リットル)瓶、720ミリリットル瓶、300ミリリットル瓶の3種類を、村内の酒屋やホテルなどで15日から販売。谷瀬の吊り橋のそばで地区が運営する「つり橋茶屋」でも販売予定という。
3月末には村役場で、完成した純米酒を披露。酒米づくりに参加した奈良女子大大学院の藤村亜由美さん(24)は「村の方があたたかく迎え入れてくれ、活動が形になって、大変うれしい」。地区総代の坂口哲夫さん(57)は「酒造りで地区を活性化させ、Uターン・Iターンの人たちを迎え入れたい。村のブランドとしても育てていきたい」と話した。
十津川村の更谷慈禧村長は「こうした自主・自立の取り組みが他の地区でも生まれ、村の発展につながることを期待している」としている。問い合わせはホテル昴(☎0746・64・1111)。
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