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【春の褒章】バレエダンサーの山本さん紫綬 奈良県内から11人受章


春の褒章

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 「春の褒章」の受章者が発表され、県内からは計11人が選ばれた。内訳は業務に精励し、国民の模範になる人に贈られる黄綬褒章が2人、学術や芸術で著しい功績をおさめた紫綬褒章が1人、公共の利益に尽くした藍綬褒章が8人。29日付で発令される。

「表現者として舞台続ける」 山本隆之さん(44)=紫綬褒章

 指先からつま先まで1本の弦がピンと張ったように引き締まった体が、バレエ団のトップに上りつめた努力と才能を物語る。平成9年に開場した新国立劇場(東京都)の専属バレエ団で初の最高位ダンサー「プリンシパル」に選ばれ、以来、日本バレエ界の発展に貢献してきたことが評価された。

 大阪市港区生まれ。3歳で奈良市内に引っ越し、市立六条小、京西中学校で学んだ。大阪市でバレエスタジオを開くいとこに誘われ、中1でジャズダンス、高1から古典バレエを始めた。

「ダンサーとしての生き方が後進の参考になれば」と話す山本隆之さん

「ダンサーとしての生き方が後進の参考になれば」と話す山本隆之さん

 当時はマイケル・ジャクソンの「スリラー」などが流行した時代。最初はバレエタイツを履くのが恥ずかしく、友達には日々のけいこ通いを「『うどん屋でアルバイトをしている』とごまかしていた」と笑う。

 20歳のとき、いとこの勧めで当時ニューヨークにあった名門「ジョフリーバレエスクール」に留学。夏の学内公演で務めた主役が好評で、数カ月後にはジョフリーバレエ団に入団。米国、カナダ、アフリカと世界中を公演で飛び回り、経験を積んだ。

 2年後に帰国し、新国立劇場バレエ団に入団してからは、『白鳥の湖』や『ロメオとジュリエット』など、多くの作品で主役を演じた。足首やひざの故障に泣く日々でもあったが、数カ月おきにある公演の合間に手術を受けては舞台に立ち続け、平成20年に「プリンシパル」の栄誉をつかんだ。

 第一線を退いた今は、奈良市の実家で両親と妻、規子さん(41)の4人暮らし。東大阪市に開設したスタジオではバレエの指導にもあたる。

「ダンサーとしての生き方が後進への参考になれば」と話す山本隆之さん

「ダンサーとしての生き方が後進への参考になれば」と話す山本隆之さん

 今年1月、バレエの道に導き、指導してくれたいとこが、くも膜下出血で急逝。「生きていたら受章を一番喜んでくれたと思う」。厳しく妥協のないけいこで育ててくれたことへの感謝は尽きず、「これからも表現者として舞台に立ち続けたい」と語った。

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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