【春の叙勲】教育、福祉などに多大な貢献 奈良県内から54人受章
教育や福祉など、さまざまな分野で貢献した人に贈られる「春の叙勲」(29日付発令)の受章者が発表された。県内では旭日小綬章2人を含む計54人が選ばれた。
子育ての悩み丹念に向き合う
瑞宝単光章 母子生活支援施設母子支援員 辻本節子さん(76)=下市町
「自分がしようと思ったことをしてきただけです」と、晴れの受章にも謙虚に喜びを語った。
短大を卒業後、高取町内で14年間、幼稚園教諭として勤務。その後は保育所長を24年間勤め、39年間にわたってさまざまな事情を抱える母子にも接してきた。
「朝、保育所に来て元気がない子は、病気で元気がないのか、それとも朝食を食べていないから元気がないのかでは全く事情が違う。その子が抱えている背景を知ることが絶対に必要」と力説する。
園児が休めば、「原因がわかるまで何度でも」自宅を訪ねた。母親が精神的に「しんどい状況」にあるときなどは「放っておいて」と拒絶されることも。それでも丹念に話を聞くうち、「お母さんの気持ちが落ち着き、子供も元気に来てくれるようになった」という。
平成19年10月から、県内の母子生活支援施設に母子支援員として勤務。配偶者と死別や離別した18歳未満の子供を持つ女性が、子供と一緒に利用できる児童福祉法に定められた施設だ。生活支援のほか、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者の緊急一時保護施設の役割も担っている。
長年の経験から、特に心を配っているのが利用者の子育て支援。「たとえば食事の時に子供がうまく食べられなくても、『こぼしてもいい、手づかみでもいいから、自分で食べられるようにしてあげて』とか、身近な助言をするようにしています」と話す。
施設には、幼稚園教諭や保育士を目指す若者も実習生として訪れる。そんな後輩たちには、「子供たちと遊んであげて」と、触れ合いの中からはぐくもうと取り組んでいる。
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