地域のボランティアに支えられる子供の見守る活動 課題は〝若返り〟
奈良市で平成16年に起きた小1女児誘拐殺人事件を機に、県内でも関心が高まっている防犯活動。地域住民らでつくる防犯団体はこの10年で約40倍に増加した。一方、昨今はメンバーの高齢化で活動の継続が課題に。そんな中、事件翌年に発足した「富雄第三校区子どもの安全を見守る会」はPTAとの連携強化で卒業生の保護者を呼び込むなどして〝若返り〟を図っている。

交差点で児童の登校を見守る会のメンバーとPTA
■情報共有と連携
同会は発足当時から、児童らが登下校する平日午前7時25分~同8時15分と午後3時~同4時半、通学路10カ所で安全誘導をしている。近年はPTAと協力して毎日約30人が活動、現在は12カ所で児童らの登下校を見守っている。
青色回転灯を付けた防犯車「青パト」での朝夕巡回も実施しており、富雄第三小中学校の石原伸浩校長(58)は「頭の下がる思い。みなさんの支えがあって、児童らが元気に学校に通えている」と話した。
活動にはさまざまな特徴がある。登下校時の「当番」は学校のスケジュールを確認し、いつ、どの交差点に誰が立つかを決定。学校とPTA、「見守る会」、さらには自治会が一体となって情報共有を図り、会を中心に地域と連携している。「横のつながりが希薄だったので、工夫しなければ活動継続は困難になると思った」と同会の宮川義一事務局長(73)は話す。
4年ほど前、校区内では下校時に「車に乗らないか」などと声をかけてくる事案があった。だが、保護者への情報伝達は遅れ、会や地域の対応が課題に。教訓を生かし、現在は地域と警察が不審者情報などを共有、メールでPTAや学校、見守る会に連絡するシステムが確立されている。

青パトの説明をする見守る会メンバーと見学する児童
地域住民にも情報が伝達されるため、会の活動に参加していない住民からも、児童に「遅くなったらあかんで」などと声かけがされるようになったという。
■県内の見守りボランティア3万3000人
奈良県内では27年時点で760団体、延べ約3万3千人がボランティアとしてこうした見守り活動に従事。だが、高齢化で今後ボランティアの減少が危惧され、〝若返り〟が課題となっている。
「見守る会」では1年前から「活動報告通信」を月1回程度、自治会や保護者、奈良西警察署などに配布。不審者情報なども掲載している。これを契機に、転入してきた「新住民」が活動に参加したり、卒業生の保護者が会の活動に参加するようにもなった。
元PTA副会長の中嶋史子さん(41)も活動に参加。「地域が高い防犯意識を持っているので、仕事で留守がちな家庭でも、子供を安全に送り出せる安心感がある」と話した。
■積極的な活動で守る
同校では22年から毎年、新1年生と会の交流会が開かれている。新しく入学した児童とその保護者に、会の活動内容や地域とのつながりを理解してもらうためだ。交流会では、児童からの質問コーナーや青パトの見学のほか、会のメンバーに「いつも見守ってくれてありがとう」などと書いたお礼の手紙を手渡すなどした。浜田伊吹さん(7)は「いつも立ってくれてうれしい。これからもあいさつをしようと思う」。
宮川さんは「活動の根本にあるのは、子供を守るのは誰なのかということ。『地域全体で見守るのが当たり前』ということが、ようやく根付いてきた。これからも積極的な活動を続けたい」と話した。(石橋明日佳)
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