【奈良で涼】ひんやりとした空気と清澄な水 奈良市の「鶯の滝」
世界遺産・春日山原始林(奈良市)。スギやヒノキの大木の間を抜け、木漏れ日の中を進んだ先に「鴬の滝」がある。
若草山山頂から、原始林内を進む奈良奥山ドライブウェイ(約13キロ)の地道をゆっくり進んでいくと、小さな赤い橋「大原橋」が見える。橋を渡り、さらに進むと明治36年に建てられ、夫婦和合や商売繁盛の歓喜天をまつった「興福寺別院歓喜天」が。建物は老朽化などにより倒壊しているが、長い石段などが残っている。
下手にある石段を下る。脇には、深い緑の中に咲く淡い水色のアジサイが。辺りの静けさは一層増し、かすかに水の落ちる音だけが響く中を分け入ると、高さ約10メートルの「鴬の滝」がひっそりとたたずむ。昼間でも大木のすき間からわずかに差し込む木漏れ日だけで薄暗く、猛暑の中でもひんやりとした空気が流れている。
名前の由来には諸説あるが、周辺で鴬がよく鳴いていることから名付けられたとされる。佐保川の源流で、県が地域の生活に密接にかかわる清澄な水を選ぶ「やまとの水」にも選定されている。
原始林の中には遊歩道も整備されており、ハイキングコース(標準約12キロ)としても人気。遊歩道と並行する、石畳の道が残る滝坂の道(旧柳生街道)は、朝日観音や夕日観音など、石仏の宝庫でもある。
奈良公園事務所の担当者は「森林浴や、いろいろな名所を楽しむ中で、涼をとれる鴬の滝にも立ち寄ってみてもらえたら」。連日、猛暑が続く中、静寂な原始林の中で、ひんやりとした空気と清澄な水に触れて、〝深呼吸〟をするのもいいのでは。(山﨑成葉)
鴬の滝(奈良市川上町) 奈良交通バス「春日大社本殿」下車、徒歩5分の遊歩道入り口(北)から徒歩約1時間。車なら、奈良奥山ドライブウェイですぐ近くまで行ける。問い合わせは奈良公園事務所(☎0742・22・0375)。
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