なぜ、非正規雇用? 4人に1人「正社員の仕事ないから」 南都経済研調査
正社員として働ける仕事がないため非正規雇用になった女性は、4人に1人―。南都経済研究所(奈良市)が県内女性の就業をめぐる意識や行動を調査したところ、こんな結果が明らかになった。7割近くが「女性が働き続けることができる職場づくり」を求めていることも判明。県内の働く女性をめぐる環境は依然厳しく、女性の活躍を推進する支援の充実が急がれる。
調査は昨年6月、県内在住の女性を対象にインターネットを通じて実施し、800人から有効回答を得た。年齢は「40~44歳」が最多で「45~49歳」、「35~39歳」と続いた。居住地は奈良市が最も多く、次は橿原市、生駒市、大和郡山市の順だった。
調査結果によると、非正規雇用を選んだ理由で最も多かったのは、「自分の都合のよい時間に働きたいから」で31・7%。続いて「正社員として働ける仕事がないから」が25・6%、「家計の補助、学費などを得たいから」が7・5%だった。
また、県外就業の女性に県外で働く理由を聞いたところ、「雇用条件・労働環境がよいため」が26・6%と最多で、続いて「希望条件に合う企業が県外にしかなかった」が22・4%、「賃金が高い」が21・0%だった。
平成22年の国勢調査によると、県内女性の5人に1人が県外で就業。うち、25~19歳では3人に1人が県外で働いており、県内の雇用環境の改善が急務となっていることが分かる。
一方、過去に就業した会社の離職理由(複数回答)で最も多かったのは、「結婚のため」で43・6%。次に「出産、育児・子育てのため」で28・1%、「人間関係に問題があったため」で12・1%だった。女性就業率が全国で最も低い県内で、多くの女性が結婚や育児により離職している状況がうかがえる。
また、女性が出産後も離職せずに同じ職場で働き続けるために必要なこと(複数回答)では、「職場における育児・介護との両立支援制度の充実」が57・0%に上りトップに。続いて「短時間勤務制度や在宅勤務制度などの導入」が44・7%だった。
さらに就業環境の整備に向けて行政に要望したいこと(複数回答)については「女性が働き続けることができる職場づくり」が68・8%で最多。次に「子育て支援の充実」61・7%、「ワークライフバランスの促進」36・3%の順だった。
同研究所は「女性が出産、育児などで離職することを最小限にするようさらなる法整備や企業制度の充実が期待される」と指摘。「若い女性が働きたいと思うような企業や職業を県内に増やし、県内就業率を高めることが正社員として働き続ける女性を増やすことにつながる」としている。
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