685年ぶりの再興へ「春日移し」、本宮神社旧社殿を京都の笠置寺へ
春日大社(奈良市)の20年に1度の社殿大修理「式年造替」で、昨年社殿が新しくなった御蓋山山頂の摂社・本宮神社の旧社殿が23日、ゆかりの笠置寺(京都府笠置町)に移された。「春日移し」と呼ばれる古来の社殿再利用で、笠置寺では春日明神社が685年ぶりに再興される。
大社によると、春日移しは大社本殿の建て替えが行われていた幕末までを中心に近畿一円で摂社・末社を含め約150例が確認されているという。
本宮神社の旧社殿は前回の造替で建てられたもので千木までの高さ約2・6メートル、幅約0・7メートル、奥行き約1メートル、重さ約300キロ。移設を前に修復されこの日、大社末社の祓戸神社で清祓式が行われた後、関係者らが担いで参道を運び、トラックに載せて笠置寺に向かった。
鎌倉時代に興福寺から笠置寺に入った解脱上人貞慶は春日信仰にあつく、笠置寺に春日明神を勧請。六角堂近くに春日明神社を建立したと伝わる。同時代の絵巻「春日権現験記」にもその様子が描かれているが、元弘元(1331)年の「元弘の乱」で同寺は焼け、再興されないままだった。
今回は式年造替を機に、本宮神社の旧社殿を笠置寺に移設することに。移設場所は笠置寺の鎮守社、椿本護王宮の隣で、6月1日に御分霊される予定。
笠置寺の小林慶昭住職「これも貞慶さんによるご縁で、手をつないで頑張っていきたい」、春日大社の花山院弘匡宮司は「800年前と同じように行われ、感激している」と話した。
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