「次世代を担えるよう子供たちを守り続ける」 東大寺222世別当の狹川普文さん
「子供たちの命についてまず考える」。奈良・東大寺の第222世別当(住職)就任に際し、そう強調した。
その思いは奈良時代、聖武天皇が前身寺院を開いた精神に基づく。「天皇の息子が夭折されたことからこの寺は動き出したといっていい」。さらに同時代から続く二月堂修二会(お水取り)で籠もった経験では、満行の日に行で使った「達陀帽」を子供にかぶせ成長を願う行事に「このために1カ月間行を勤めてきた」と実感してきたという。
最近はわが子を傷つける親に心を痛める一方、素直な子供に出会うと「うれしい」。障害児らをサポートする東大寺福祉事業団としては、在宅・地域支援やレスパイトケア(介護している家族のリフレッシュ)などに尽力したいといい、「健康に育って教育を受け、次世代を担えるよう子供たちを守り続けたい」と言葉に力を込める。
東大寺で生まれ育ち12歳で得度。塔頭住職となって以降は約40年間、大寺の僧侶として歩んできた。書や絵画、彫刻もたしなみ、書は平成22年に亡くなった榊莫山さんに師事。創造の難しさを実感しつつ、「98%は自然が作り、残り2%が本人のセンス」といった師の言葉を忘れないという。
芸術への希求は奈良時代に営まれた東大寺・大仏の開眼会にも思いをはせさせる。完成した大仏の前で国内のほか中国や朝鮮、東南アジアの楽舞が奉納。国際色豊かな一大文化行事が繰り広げられた。
「天平の東大寺では文化芸術が花開いた。これからもいろんな芸術家に大仏のひざ元で奉納してもらったり、一緒に新しい展開ができたりすればすばらしい」
子供たちや芸術への熱い思いが東大寺の新たな歴史を刻んでいく。(岩口利一)
狹川普文(さがわふもん) 奈良市生まれ。65歳。龍谷大学大学院修士課程修了。東大寺の執事長や大仏殿院主、上院院主、福祉事業団理事長などを歴任。5月1日、東大寺を大本山とする華厳宗の管長、同寺の第222世別当に就任した。
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