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高齢者に元気を届け知恵学ぶ 天理の若者が訪問プロジェクト


 天理市内で働く人や学生が、1人暮らしの高齢者宅を訪ねて話を聞き、「自分史」の製作を手伝う取り組みを進めている。昨年5月に発足した「高齢者元気創出プロジェクトTENRI」が実施。若者が訪問して元気を届け、高齢者からは知恵を学ぶ―といった世代間交流で、双方が「ウィンウィン」(相互利益)の関係を築くことで、生きがい作りにつなげることがねらいだ。(浜川太一)

アルバムや日記帳を開きながら、前川さん(中央)の経験を聞き取るメンバーら

アルバムや日記帳を開きながら、前川さん(中央)の経験を聞き取るメンバーら

■静かに寄り添い耳傾け

 「幼少期の一番の思い出は何ですか」「趣味は何ですか」―。8月上旬、午後7時。天理市櫟本町の前川きよ子さん(91)宅で、2人のプロジェクトメンバーが前川さんに耳元で質問していた。

 訪問は5月から始まり、この日が3回目。耳が聞こえづらくなった前川さんは何度か聞き返しながら、「詩吟が一番好きやったなあ」と、はっきりした口調で答えた。途中でお茶休憩をはさみつつ、前川さんはアルバムや日記帳のページを繰りながら約2時間、友人との旅行やバレーボールに励んだ学生時代の思い出を話した。

■生きがい作りをお手伝い

 「高齢者元気創出プロジェクトTENRI」の発起人で代表の天理大職員、井上久光さん(52)は、高齢者の万引事件などの報道に接し、「晩年を生きがいを感じながら暮らしてもらう手伝いができないか」と構想。「自分史」作りの過程で自身の人生を肯定し元気になってもらおうと、プロジェクト「その人物語」を始動、前川さんが第1号となった。

 プロジェクトには現在、天理大や天理医療大の学生のほか、市議会議員、市地域包括支援センター職員ら約40人が集う。製作する「自分史」は約200ページの冊子で、費用は参加者の寄付や印刷会社の協力で捻出。完成後は1冊を無料で贈り、増刷希望者には自己負担してもらう。

 「自分史」は書籍の形態だけではなく、希望があれば写真、録音、動画も想定。絵を希望する人があれば、天理大美術部の学生が描くという。

■自然な会話で傾聴

 メンバーは話を聞く際、矢継ぎ早に質問し「追及」するのではなく、自然な会話の中で出てきた人生経験を拾い取る「傾聴」の形を取るよう心がけている。前川さん宅へ通う天理大職員、森川智美さん(33)は「相手の負担にならず、双方が楽しみながら進めるのが大事」と話す。

 同じプロジェクトメンバーで天理医療大4年の真田陽生さん(21)は、将来看護師を目指しており、傾聴の大切さを感じて参加。「戦争体験など、人生の先輩の知恵を聞けるのはとてもありがたい」と話し、前川さんも「若い人と話すことができて、こんなにうれしいことはない。自分史の完成が待ち遠しい」と顔をほころばせた。

 プロジェクトでは自分史作り以外に、高齢者と共同で行う農作業体験なども計画中。井上さんは「同様の活動が市外にも広まり、地域全体で高齢者を支える仕組みができていけば」としている。

 プロジェクトでは、「自分史」の製作希望者を募集している。対象は天理市内の一人暮らしの高齢者。問い合わせは井上さん(☎090・8822・8168)。

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