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【大和の郷土料理】(中)海の魚を工夫する先人の知恵 サンマなれずし


 海のない奈良。だが、正月には海の魚がごちそうとして古くから並んでいた。

 「正月のお膳には、餅とみかんとお年玉、その横には必ず、サンマのなれずしが用意されていました」。十津川村で生まれ育ち、地域の婦人会で活動してきた西田宮子さん(84)は懐かしそうに振り返る。

シダを敷いた木桶に隙間なく並べられたサンマのなれずし(十津川村提供)

シダを敷いた木桶に隙間なく並べられたサンマのなれずし(十津川村提供)

 なれずしは、酢を使わず塩と米で発酵させたすしのこと。太平洋に面する和歌山県の南部地域を中心に現在も広く食べられ、独特の風味から「くさりずし」などとも呼ばれる。保存食としても重宝するなれずしは、十津川村でも古くから正月の食卓を彩ってきた。

 村の各家庭は、早いところでは正月の1カ月前から仕込みを始める。北の海から熊野灘まで南下してきた晩秋のサンマは脂が落ちて身が引き締まり、すしにちょうどいいのだという。

 サンマのなれずしは、魚も米もなかった戦時中の一時期を除いて、村の母親たちによる心尽くしの手料理として、絶えることなく作られてきた。「手間のかかる料理は今の時代、あまり好まれんかもしれませんが、村の伝統が長く受け継がれていけばうれしい」と西田さん。今年も関東から帰省する息子家族のために、すしの仕込みを始めている。

赤エイ煮こごり、エソの塩焼き

 魚料理は、県北部地域などでも正月の食卓に上る。その代表が、奈良の言葉で「とっきょりの魚」(時折用いる魚の意)として、ハレの日に食べられる「赤エイ」と「エソ」だ。

赤エイは2~3時間かけてじっくりと煮込まれる

赤エイは2~3時間かけてじっくりと煮込まれる

 赤エイの煮こごりは、特に葛城地域の伝統料理とされる。交通の要衝であるこの地域では、大阪で水揚げされた新鮮な魚が昔からいち早く手に入ったという。その味は、軟骨のとろけるような柔らかい舌触りが絶妙。煮汁に溶け出したゼラチン化したコラーゲンは美容にもよさそうだ。

 NPO法人「奈良の食文化研究会」の会員で、食物学が専門の奈良女子大名誉教授、的場輝佳さん(73)は、エイは朝鮮半島で古くから食べる習慣があったことから「半島との文化交流が盛んだった奈良時代に、日本にも伝わったのでは」と推測する。

 一方、エソは両あごに鋭い歯を持つボラのようないかつい顔。塩焼きにすると、見た目からは想像もつかない上品で香ばしい味わいだ。表面をうっすらと覆う黄金色の焦げ目が、見栄えを一層引き立てる。

 赤エイやエソは、いずれも比較的安く手に入る大衆魚。決して上等な魚ではないが、的場さんは、そこに奈良の郷土料理のよさを見いだす。「エソの白身は、高級魚の鯛に見立てて作ったのでは。つつましくも、新春を祝おうと精いっぱい生きた大和の人々の喜びや知恵が感じられ、心が温かくなります」と話す。

完成した赤エイの煮こごり(手前)とエソの塩焼き

完成した赤エイの煮こごり(手前)とエソの塩焼き

 来る新年を寿ぐため、古くから作り続けられてきた郷土料理。そこには、大和の人々のさまざまな願いが込められ、多様な創意工夫が凝らされている。

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