【月刊ならスポ】おばあちゃんに続け、走り幅跳びの吉岡里紗さん 目指すは東京五輪
身長170センチ、体重47・5キロのすらりと伸びた身体が助走路を勢いよく駆けぬけ、踏み切り板を蹴り上げて飛び上がる。川西・三宅両町による学校組合立式下中学校(川西町)2年の吉岡里紗さん(14)は昨秋、ジュニアオリンピック陸上競技大会の走り幅跳びで大会新記録をたたき出して優勝した。約半世紀前に祖母が出場した東京五輪を目標に、さらなる高みを目指している。
■小6で県記録更新
陸上を始めたのは小学1年の秋。父、藍一さん(45)がコーチを務める「三宅陸上クラブ」で走り幅跳びと高跳びを始めた。当初は100メートル走にも取り組んだが、「すごい速い友達がいて、1番でないと気が済まないので幅跳びで1番になろうと思った」という「負けず嫌い」だ。
6年生のときには幅跳び5メートル8センチ、高跳び1メートル41センチを跳んで県記録を更新。中学に入ると幅跳び1本に集中し、1年の7月には5メートル43センチを跳んで県の中学1年の記録を更新した。
だが、8月の全日本中学校陸上競技選手権大会(全中)はまさかの予選落ち。「気持ちばかり先行して、力が入り過ぎていた」と振り返る。自身も走り幅跳びの選手だった南岡宏樹顧問(36)は「今思えば、調整に失敗したのだと思う。近畿大会、全国大会と、両方いい成績を狙いすぎていた」と話した。
■悔しさバネに練習
翌年の全中では5メートル73センチで5位に入賞。それでも、「同級生で幅跳びが専門でない人が3位だった。成績より、同世代で自分より上がいることがとても悔しかった」(吉岡さん)という。
その後は、助走の安定化と踏切りの練習を徹底。「気持ちを落ち着かせるため、1本目はファウルにしない」「助走に勢いをつけて飛び込む」の2つを意識して記録会などにも積極参加、感覚を研ぎ澄ませた。
そして迎えたジュニアオリンピック本番。1回目でいきなり5メートル73センチの好記録をマークすると、6回目には5メートル97センチの大会新記録。他を寄せ付けない記録で優勝した。
「助走のタイミングが合ってきて、記録も伸びた。次の全中で優勝したい」と、さらなる記録更新を目指し、練習に励んでいる。
■オリンピアンの祖母
幼少時から才能を開花させた吉岡さんを支えるのが、陸上一家の家族だ。父、藍一さんと母、明子さん(45)は大学時代に高跳び選手として活躍。祖母の内藤充子さん(72)は1964(昭和39)年の東京五輪に、走り高跳びの選手として出場した。
2020年に開催される東京五輪の年には、吉岡さんも19歳になる。学校の社会科の教科書には、かつての東京五輪で選手団が行進する写真も掲載されており、あこがれの舞台に出場した祖母を「どこを行進していたの」「どんな雰囲気だった?」と質問攻めにしたが、にこにこと笑う祖母の答えはいつも、「忘れちゃった」と曖昧だ。
「おばあちゃんと同じ舞台に立つためにも、今年は6メートル19センチの日本中学記録を破りたい」と、夢に向けた目標も設定した吉岡さん。中学最後となる今夏、さらなる飛躍を目指す。(神田啓晴)
【関連記事】
【月刊ならスポ】究極のロープスポーツ「ダブルダッチ」、世界制覇の女子中生4人
1400人がトラック、フィールド駆け巡る 中学学年別陸上開かれる
【月刊ならスポ】「結果出せた。将来は欧州へ」、奈良北高自転車部主将・吉岡さん
ホテル計画に意欲、ラグビーW杯・東京五輪キャンプ地に名乗りも 3選の森下橿原市長
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)