春日山原始林保全へ県が本腰 照葉樹植林、外来種除去も
ナラ枯れや外来種の侵食が進む世界遺産・春日山原始林(奈良市)の保全や再生を話し合う県の検討委員会は、原始林内でカシ類など照葉樹の種を採取し、苗木に育てた上で再び植樹する方針を決めた。さらに来年度からは外来種ナンキンハゼの本格除去も始める。
先月奈良市内で開かれた検討委では、ナラ枯れや外来種により原始林の存続が危ぶまれる状況が広がっているとの現状を確認。後継樹となる苗木の育成に着手するとした。
具体的には、今年9~11月に原始林内でカシやコジイなどの種子を採取。高さ50~80センチに成長する3年間は、原始林と環境や土壌が似ている県の花山・芳山地区人工林の苗場で育て、その後、原始林に植樹するという。苗木はシカに食べられないよう、周辺に保護柵を設ける。
検討委ではこうした一連の取り組みについて、「官民連携を前提とした体制で行い、広がりを持たせるほうがよい」とする意見や、「後継樹育成の取り組みを積極的に情報発信するべきだ」という声があった。具体的な計画や体制づくりについては次回の検討委で議論する予定。
一方、ナンキンハゼの本格駆除は来年度、航空レーザー測量を利用して侵入範囲を詳しく調査する予定で、除去方法や財源については継続して検討することとなった。県奈良公園室は「50年後、100年後という長期スパンだが、春日山原始林をもとの姿に戻したい」としている。
春日山原始林の保全をめぐっては、平成26年夏に原始林の環境保全活動を行う団体「春日山原始林を未来へつなぐ会」が設立され、ナラ枯れの防止対策や外来種の伐採作業、市民向けの情報発信などを行っている。
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