Uターン経験者だからこそわかる支援 リアル奈良暮らしを伝える
奈良の魅力を知ってもらい、「奈良で暮らしたい人」を増やしたい―。奈良に住む若者らでつくる団体「奈良移住計画」(奈良市)が今年1月に設立された。立ち上げた代表の中島章さん(33)は東京から奈良にUターンした〝移住経験者〟。自身の経験をもとに、奈良への現実的な移住を考えるきっかけにしてもらおうと住まいや仕事、地元の情報を発信。移住者との交流イベントも開催するなど、精力的に活動している。(有川真理)
■奈良のよさを伝えたい
「人であふれかえる東京一極集中の状況に違和感を覚え、地元の奈良に貢献したいという気持ちが強くなった」
昨夏に東京からUターンしてきた奈良市出身の中島さんはこう振り返る。大学卒業後、東京の会社に就職。ひたすら働く日々だったが、3年ほどたつと疑問を感じるように。「奈良に戻って地域活性化のために力を尽くしたい」という気持ちが強くなったという。
そんなころ、実際に奈良へ移住した人や起業家と知り合う機会があり、Uターンを決断。「私と同じように仕事があるから仕方なく東京に住んでいるけど、もっとゆったりと暮らしたいと思っている人は多い」と中島さん。「漠然とでも奈良の移住に興味を持っている人に、奈良のよさや奥深さをきちんと伝えることや、実際に暮らすための情報を伝えることが大切だ」と話す。
■等身大の「リアルな情報」を
「奈良移住計画」のメンバーは中島さん同様、奈良へUターンやIターンしてきた若者たちだ。
現在、奈良市内でゲストハウスを経営している男性(29)やITベンチャーを起業した男性(32)など、30代を中心に8人がメンバーとなり、それぞれ自分たちの仕事と両立させながら活動。等身大の目線で奈良の情報を発信できることやそれぞれの移住体験を伝えられることが強みとなっている。
兵庫県尼崎市出身で、現在奈良市に住んでいるメンバーの松村恵麻さん(34)は「奈良は人と人の距離が近くておもしろい。歴史ある土地やこだわりのお店、すべてが魅力的で、もっといろんな人に奈良のことを知ってほしい」と話す。
■移住してからが始まり
全国的に人口減少問題が進む中、県は南部東部を中心にさらに深刻な状況となっている。
だが、中島さんは「単に移住者が増えればいいとは思っていない」と強調。「移住してからが始まり。地域でその人がどう暮らしていくのか、地域の人とのつながりをつくっていきたい」と話す。
ホームページには移住者のインタビューのほか、実際に会社で働く人や経営者を詳しく紹介した求人コーナーも。立ち上げてからまだ間はないが、「現実的に移住を考える第一歩」にしてもらおうと地に足をつけた活動を展開している。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)