春日大社本殿の極彩色壁画、40年ぶりの描き直し間もなく完了 10月に公開へ
春日大社(奈良市)の20年に1度の国宝・本殿修理「式年造替(しきねんぞうたい)」で、本殿4棟の板塀に描かれた極彩色壁画5面の40年ぶりの描き直しが進んでいる。25日、作業現場が報道陣らに公開された。
壁画は東西1列に並ぶ第一~四殿の板塀「御間塀」に縦約1・5メートル、横約2メートルに描かれた「獅子牡丹図」や「神馬牽引図」など。こうした壁画は鎌倉時代の絵巻などにもみられるため、「絵馬の原型」とも言われる。これまであった昭和50年の造替で描かれた壁画は傷みが進んだため今年6月上旬までにはぎ取られた。
その後、文化財補修に取り組む小西美術工藝社(東京)が下地作りを開始。先月中旬から墨で輪郭を描き、岩絵の具を塗る作業を続けている。同社の横田敏行副社長は「自分たちを出すのではなく、もとの絵の雰囲気を壊さないよう復元することに神経を使う」と話していた。
壁画は9月に完成予定で、ご神体が仮殿から戻る「正遷宮」(本殿遷座祭、11月6日)を前に、砂をおさめる「お砂持ち行事・国宝御本殿特別拝観」(10月6~23日)で一般公開される予定。
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