国宝・金銀字一切経の写経切見つかる 宇陀の宗祐寺
奥州藤原氏が作った「金銀字一切経(きんぎんじいっさいきょう)」(国宝、平安時代後期)の一部とみられる写経切1点が宇陀市にある飛鳥時代創建の古刹、宗祐寺(そうゆうじ)で見つかり9日、寺が発表した。
書体などから九州国立博物館が所蔵する金銀字一切経のひとつ「陰持入経(おんじにっきょう)」の一部とみられる。調査に当たった鈴木喜博・奈良国立博物館名誉館員(仏教美術史)は「陰持入経の欠損個所をこの写経切が埋める可能性がある」と話している。
金銀字一切経は、紺紙(こんし)に金字と銀字で一切経(仏教経典)を写経した経典。中尊寺(岩手県)の堂塔を造営した奥州藤原氏の初代・清衡(きよひら)によってつくられ、中尊寺に奉納された。その後、多くが金剛峯寺に移され、同寺には4296巻が保存されている。
宗祐寺で見つかった写経切は縦22・6センチ、横33センチ。1行17文字で、経文は19行書かれている。寺に残る文書から、明治21年に同寺が所蔵したと分かった。
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