【あのまちこんな店】奈良好きが集うカフェ&バー「ことのまあかり」 雑貨も充実
近鉄奈良駅から南に延びる「小西さくら通り」の脇道にある小さな雑貨カフェ&バー「ことのまあかり」。かつてここで半世紀以上親しまれた喫茶店「可否茶座 アカダマ」跡にオープンし、間もなく1周年を迎える。レトロな山小屋風の店内は「アカダマ」時代のままで、往時の常連が集まることも。「奈良好き」が集う場所として、人気を集めている。
■〝奈良愛〟高じて
東京に住んでいた18年前から「歴史や自然が魅力」と奈良を訪れていたオーナー、生駒あさみさん(37)。〝奈良愛〟が高じて平成20年から、奈良の行事や観光情報が満載の「奈良旅手帖」を毎年自費出版、28年度版でシリーズ8冊目となる人気手帖だ。23年には知人らと5人で、奈良市東包永町に雑貨と古本の店「フルコト」をオープン、26年にはついに奈良市に移住した。
だが「古代史や奈良の歴史について話し合えるお店がほしい」との思いが募り、出店を模索。ちょうど23年12月に閉店した「アカダマ」跡の空き店舗を見つけた。元オーナーの大槻旭彦さん(71)も「奈良が好きな人なら貸したい」と快諾、昨年3月27日にフルコト2号店として「ことのまあかり」がオープンした。
■支払いは「和同開珎」
店内には本や雑貨、食品など、「奈良ファン」の心をくすぐる品がずらり。メニューも「京都とは違う奈良の歴史、古代人の気持ちをこめた」とこだわりが詰まっている。
三宅町の焙煎工房から仕入れた特別な豆から煎れた「スペシャリティ珈琲」を、特注の土器を模したカップに注いだ「古墳珈琲」(580円)は、奈良町で人気の「ぷちまるカフェ」製の「勾玉クッキー」付き。ドリンクチケットは「和同開珎」スタンプを押す仕組みで、「お支払いは和同開珎で」と、歴史ファンにはたまらない演出だ。一番人気のホットケーキは、牛乳の代わりに豆乳を使用。素朴な味わいながらふんわり、もっちりした独特の食感で、やみつきになりそうだ。
■雑煮、かき氷も
2月からは金、土、日曜日限定で軽食を須恵器で提供。昨夏は「長屋王」と名付けたミルク系かき氷、今年の正月には奈良の雑煮など、季節に合わせた特別メニューも提供、「ことのまあかり」は奈良の歴史や伝統を組み込みながら日々進化を続けている。
アルコール類は「額田姫王」や「大伴家持」「鑑真」など、歴史の人物の名前がつけられた酒などが「奈良三彩」模様の特製の陶器で出される。おつまみも「古代のチーズ」と呼ばれる「蘇」や干し肉、「木簡のグリッシーニ」など、奈良を存分に楽しめるものばかりだ。
2月20日には、アカダマ元オーナーの大槻さんをかつての常連らが囲み、トークイベントが行われた。「うどんが50円の時代に、コーヒー1杯60円。腹の足しにもならないものを飲みに、たくさんの文化人が来店してくれた」と往時を振り返った大槻さん。「木造2階建て、山小屋風の内装は自分でデザインした。カウンターもそのままで、懐かしい」と眼を細めた。(神田啓晴)
ことのまあかり(奈良市小西町2)=近鉄奈良駅から南に徒歩約3分。営業は金、土、日曜が午前11時~午後9時。月、水、木曜が午後2時~午後8時。火曜定休。(☎0742・24・9075)。
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