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【まちの近代化遺産】仏教寺院様式の校舎が景観とマッチ 奈良市立鼓阪小学校


 東に正倉院、西に東大寺転害門-と、文化財に囲まれた奈良公園の敷地内に奈良市立鼓阪(つざか)小学校はある。景観への配慮から、仏教寺院の建築様式を模した瓦ぶきの巨大な屋根を持つ建物は、とても小学校とは思えない雰囲気。文化財と生活の距離が近い奈良ならではの魅力あふれる学校だ。

立派な瓦ぶきの屋根がある奈良市立鼓阪小学校の本館と講堂

立派な瓦ぶきの屋根がある奈良市立鼓阪小学校の本館と講堂

 日本風の大屋根があるのは、職員室などがある本館と体育館として使われている講堂が一体化した建物。完成したのは奈良第三尋常高等小学校だった昭和11年。京阪神地方に甚大な被害をもたらした9年の室戸台風で旧講堂が被災し、復興にあたっては講堂を本館と一体化させることになり、現在の様式になった。

 本館と講堂を合わせた総面積は約1330平方メートルで、鉄筋コンクリート造でありながら装飾瓦や軒裏に化粧垂木がほどこされた独特の造り。特に屋根の縁が反った形状は、大寺院などにみられる仏教建築の特徴で、鉄筋コンクリート造で仏教建築の屋根を持つ校舎は全国でも他に例がないという。

 総工事費は約8万7千円で、現在の価値でおよそ6億円と破格の金額。近代建築史を研究する京都華頂大の川島智生教授は「昭和10年ごろに学校施設で鉄筋コンクリート造は珍しい。市の講堂と兼用するという構想があったため、しっかりした造りにしたのだろう」と話す。

 同校の創立百年記念誌によると、竣工時の建築概要には「純日本風を加味した鉄筋コンクリート造」と記され、同校と奈良市の両方から講堂の建築は日本風にするよう要請があったという。当時の石原善三郎奈良市長は「洋風コンクリート造では付近の景観にマッチしないため、苦心して寺院建築様式の講堂を構想した」との言葉を残しており、周囲への景観への配慮から仏教建築を模した屋根にしたことがうかがえる。

昭和に撮影された奈良市立鼓阪小学校の航空写真(同校提供)

昭和に撮影された奈良市立鼓阪小学校の航空写真(同校提供)

 実は当時、こうした日本古来の景観を守る取り組みは全国で始まったばかりだった。県景観・自然環境課によると、県内では12年に初めて、若草山周辺などが景観保全を目的とした風致地区に指定。川島教授は「鼓阪小学校は、県内の風致地区の概念を先取りした施設。奈良が地域の景観を大切に考えてきたことを伝える重要な近代化遺産」と強調する。

 同校の西本浩章校長も「児童には特に近代化遺産として教えてはいないが、『あの校舎が懐かしい』と言って見に来る卒業生がたくさんいる。彼らのためにも後世に残したい」と話した。(桑島浩任)

 ■ひとくちメモ 東大寺転害門(国宝)を正面から見ると、左後方に鼓阪小学校の校舎が見える。普段は見学目的で敷地内に入ることはできないが、講堂は平成25年に県の音楽の祭典「ムジークフェストなら」の会場となるなど、イベントで開放されることもある。

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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