法隆寺金堂の焼損壁画 保存、活用どうする? 専門家らが視察
昭和24年に焼損した法隆寺(斑鳩町)の金堂壁画(重要文化財、7世紀末頃)の保存活用を検討する「保存活用委員会」(委員長、有賀祥隆・東京芸大客員教授)の第2回会合が27日、同寺で開かれた。委員らは収蔵庫に納められている壁画を視察、課題などについて意見交換した。
保存活用委は昨年12月に発足。法隆寺の大野玄妙管長のほか絵画や建築、彫刻、保存科学の専門家ら計13人で構成している。
この日、委員らは収蔵庫に入って釈迦や薬師の浄土図など12面の壁画と焼けた部材を入念に視察。その後の会合で有賀委員長は「収蔵庫内の環境はそう悪くない。焼けた部材が落ちたり、壁画がはがれて落ちたりする状況ではない」と述べ、委員からは「部材の保存処理をするのか、基本的な見通しを」「壁画の現状記録をとる必要がある。もともとあった煤なのかカビなのかも知るべきだ」といった意見が出た。
保存環境、壁画(美術史、材料調査班)、建築部材、アーカイブの各ワーキング・グループも設置され、全体会合を開いた。保存活用委は火災70年の平成31年1月をめどに、調査結果の中間報告を行う予定。
「昭和大修理」の記録映像、委員会で公開
法隆寺の保存活用委の会合では、同寺の「昭和大修理」を研究者が撮影した記録映像が初めて公開された。
撮影、編集したのは、中国建築史研究者の竹島卓一さん(1901~92年)。保存活用委は映像を収めたDVDが遺族から法隆寺に寄贈されていると知り、遺族宅に原本の16ミリネガフィルムが残っていたのを確認したという。
映像には金堂・五重塔の解体修理があるほか、金堂壁画の処理作業が含まれている。12面の壁画を取り外して補強するなどして運ばれるまでの一連の作業が詳細に記録されており、今後壁画の保存に貴重な資料となるという。
専門家は「壁画の処理が映像を通じてよく分かる。有益な情報で、貴重な資料だ」としている。
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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)