大地震来たら…奈良市の水道〝ほぼ全滅〟99.5%が断水 復旧手引き必須
熊本地震からまもなく1カ月半。だが、被災地は長引く断水に今も苦しめられている。奈良市企業局は4月26日から今月2日までの1週間、配水・給水管修繕支援のため、職員3人を熊本市に派遣した。奈良には北和地域を南北に横断する「奈良盆地東縁断層帯」があり、強い直下型地震が発生すれば、奈良市の99・5%に当たる約13万世帯で断水すると予想されており、災害への備えは必須だ。
被災地に派遣されたのは、水道工務課の小島範之課長補佐ら。地震発生から10日余りが経過していた当時、地上に水があふれる漏水の修繕は進んでいたが、地中に埋設された水道管からの漏水は続いており、主に民家を回って調査。計約1200件の漏水調査を行い、給水管の修繕作業にも当たった。
だが、災害で破損した水道の復旧には時間がかかる。熊本地震の被災地は地震発生から1カ月が経過した5月15日時点でも、益城町や南阿蘇村など計2397戸で断水。阪神・淡路大震災では、神戸市は送配水管復旧に74日を要した。
一方、奈良市は水道管の老朽化を表す「経年化管路率」が中核市42市中、ワースト4位の27・3%(平成25年度末)。水道管の耐震化も17%にとどまっており、大規模地震が起きれば老朽化した水道管が破損する可能性が高い。市民は災害時の断水に備え、1日に必要とされる水3㍑を最低3日分用意するなど、「備える意識を持つ」ことが必要だ。
小島課長補佐は災害への自治体の備えとして、「役割分担のマニュアルが必須」と指摘した。被災自治体側は応援の職員に水道管の配管図面を渡す余裕すらなかったため、頼りは自前のスマートフォンのナビアプリ。水道管は材料や修繕方法も地域により異なるため、作業効率はなかなか上がらなかったという。
奈良市企業局では、災害時の体制を明記した「震災対策マニュアル」を毎年改訂。だが、経営管理課の井内文彦課長は「訓練もせずに、本番でマニュアル通り動けるかと懸念している」とし、今後は訓練やマニュアルの周知徹底、改訂をさらに進めるとした。
【関連記事】
地域のつながりで減災 情報共有、仕事分担して避難生活 熊本地震から学ぶ教訓
【熊本地震】西原村など断層近くの4町村で長引く断水 専門家「耐震水道管の導入検討すべきだ」
「屋根の軽量化が重要」 熊本地震の建物危険度判定した職員の報告
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)
産経新聞の試し読み、ご購読はhttp://sankei-nara-iga.jp/koudoku.html