【私の働き方】子供たちの元気な足育てる 「足育」広めるNPO代表・玉島麻理さん
足について正しい知識を知って健康になってもらおうと活動しているNPO法人「日本足育プロジェクト協会」代表の玉島麻理さん(51)=大和郡山市。約2年前に正しい靴の選び方や丈夫な足づくりのトレーニングなど子供の成長に合わせた「足育」を実践するサロンも立ち上げた。元気な足を育てたい。もっと足について知ってほしい―。熱い情熱でNPOやサロンの活動に打ち込んでいる。
■学校の先生目指して奮闘
今でこそ「足育」の普及に取り組む玉島さんだが、かつては養護学校の教諭を目指していた。専門学校卒業後、歯科衛生士として勤務するかたわら通信教育で教員免許の勉強を続ける奮闘ぶりで、30歳のときに小学校教諭の二種免許を取得。とはいえ、採用試験のハードルは高かった。
「逆上がりの実技もあったけど、練習してもだめだった」と笑って振り返る。学校の先生になるという夢から前向きに気持ちを切り替え、歯科衛生士の仕事に加えて学童保育施設でも働くようになった。
34歳で結婚してからは週2、3回、歯科衛生士のパート勤務を続け、39歳で長男、41歳で二男を出産。「足育」の大切さを知ったのは、長男が小学1年のとき。「足が痛い」と訴えたことがきっかけだった。
■多い子供の足のトラブル
体育大学出身の知人に見てもらったところ、足の痛みは合わない靴が原因だった。「今の子供の足は扁平足が多いなどさまざまなトラブルを抱えている」という話を聞いて驚いた。
「それから意識して長男の友達の足をよく見ると、指が地面にしっかりついていなかったり、変形していたり…。子供たちの足は一体どうなっているんだ、ってびっくりした」
そこで、足の発達やフットケアなどの勉強を本格的に始めた。玉島さんによると、現代の子供の約9割は、足の変形を抱えているとされる。足の変形はひざや背骨のゆがみにつながり、姿勢の悪さや歩きにくさの原因にもなっているという。ただ、日本では「足育」についての認知度は低く、子供に合っていない靴をはかせる親も多い。
「子供は小さな靴を履いても痛みを訴えない。親がちゃんと足をみてあげることが大切」と訴える。もっと「足育」を広めたいと平成25年にNPOを設立。アドバイザーの養成講座やイベントなどで正しい靴選びのアドバイスなどを行っている。
■親の居場所づくりにも
こうしたNPO活動のほかに、26年からは大和郡山市内のマンションで0歳から「足育」を実践できるサロンも開設。子供の靴の選び方や足の裏の鍛え方、遊びや運動を取り入れた足のトレーニングなど、親子で健康な足を育てるのが目的だ。
今では県内だけでなく大阪など県外から通う親子も多い。「足育を学ぶだけでなく、お母さんがほっとできる場所にできたら」と、子育ての悩みに耳を傾けることもある。
「私が仕事をしている姿をみて、息子たちが洗濯物を取り入れてくれることもある。その分、ご飯は何食べたいかリクエストに応えて作ることも多いです」と笑う。家族の応援を受けながら、足育の重要性をこれからも伝え続けたいと思っている。(有川真理)
玉島麻理(たましま・まり)さん 長崎県で生まれ、小学生のときに大和郡山市へ。夫と長男(12)、次男(10)の4人暮らし。NPO法人「日本足育プロジェクト協会」、親子で通える足育サロン「TaTaTa」の代表を務める。小学校や幼稚園などで足育に関する講座を開くことも。サロンは赤ちゃんを対象としたクラスもある。足の計測やトレーニングの体験会も受け付けている。問い合わせはサロン「TaTaTa」(☎0743・85・6088)。
【関連記事】
【私の働き方】走り続けて38年 ホテル「花小路」専務 上田トクエさん
【私の働き方】社会の弱者に寄り添う 奈良弁護士会長 佐々木育子さん
【私の働き方】《番外編》育児と仕事両立 社会の環境づくりと意識改革必要
【私の働き方】「生きる力」取り戻した、主婦からエステオーナー 田畑優美子さん
【私の働き方】主婦から県内トップ企業の経営者に 前田祥子さん
【私の働き方】「食は楽しい」伝えたい 調理科学専門家・木村万紀子さん
(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)
産経新聞の試し読み、ご購読はhttp://sankei-nara-iga.jp/koudoku.html