【鹿角抄】初心忘れず、奈良の魅力発信したい 新人記者の決意
4月に入社し、5月に奈良支局に着任した。2週間ほどたったころ、県文化会館で開催された「県美術人協会展」の取材を指示された。実は、記者の趣味は美術展めぐり。「仕事で美術展にいけるなんて!」と大喜びで文化会館に向かった。
この展覧会は洋画、日本画、彫刻など、さまざまなジャンルの作品約180点が一度に鑑賞できるという、〝お得〟で見応えあるものだった。特に、写真の展示には取材であることを忘れて見入ってしまった。
明日香村に沈む夕日、星空…。思わず「うわぁ」と声が出た。「こんな写真が撮れたら…」と、撮影をする際の構図や角度なども勉強になった。
入社後、仕事用に一眼レフカメラを購入したが、カメラはまだまだ初心者。奈良公園で今年生まれたシカの赤ちゃんや、美しく咲いたサツキの写真など、仕事で日々たくさん撮ってはいるが、自分でも納得できた写真というのは少ない。実際の花は美しいのに、自分で撮った写真は首をかしげてしまうような出来だったり、人物の表情がいまひとつだったり…と、がっかりすることもしばしばだ。
展覧会で取材した県美術人協会の委員長、杉村仁さん(61)は、「さまざまな美術品をみて、楽しみながら感性を磨いてほしい」と話していた。これまでは趣味として楽しんでいた美術展でも、楽しむだけでなく、自分自身を磨くような目線が必要なのだと考えさせられた。
取材から1週間後、杉村さんからお手紙をいただいた。取材のお礼と、来場者に「載りましたね」と声をかけられたことが記されていた。20行ほどの小さな記事にていねいな手紙をいただき、喜んでいただけたことを心底うれしく思った。
この気持ちを忘れることなく、ペンの腕もカメラの腕も磨き、奈良の魅力を発信していきたい。(石橋明日佳)
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