聖徳太子と斑鳩三寺に迫る 千田稔さんの新著発刊
千田稔・県立図書情報館長(歴史地理学)の新著「人をあるく 聖徳太子と斑鳩三寺」(吉川弘文館)が発刊された。斑鳩や飛鳥、桜井などにゆかりの地を訪ね、聖なる物語が語られてきた太子の実像に迫っている。
同書では、「聖なるもの」のイメージがある聖徳太子について「虚と実が織りなした物語が語られた土地を訪ね歩きつつ、物語がうまれた事情に耳を傾けていきたい」と記載。そのうえで太子の足跡や太子信仰、ゆかりの地を紹介している。
太子が少年時代に住んだという宮殿「上宮」についての解説では、桜井市上之宮の上之宮遺跡で同市教委が行った発掘調査で建物跡や苑地遺構が出土したことを紹介。太子の父、用明天皇の池辺双槻宮や履中天皇の磐余池との位置関係などからも、上之宮遺跡を太子の上宮と推測している。
また、太子を支えたという秦氏についても詳しく紹介。上之宮遺跡のそばを流れ、田原本、三宅、川西町へと北流する寺川周辺に秦氏の痕跡が点在することを説明し、後世の能楽について「聖徳太子-秦氏と結びつく土地において成立したことが、推定できるであろう」と記している。
このほか、「聖徳太子ゆかりの地を歩く」として橘寺(明日香村)や小墾田宮跡(同)、法隆寺、中宮寺、法輪寺、法起寺(以上、斑鳩町)、広隆寺(京都市)などを紹介。2千円(税別)。全国の主な書店で販売している。
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