【鹿角抄】大人とは何か 「18歳選挙権」通じて考えた
「18歳選挙権」が導入されて初めての国政選挙となった今夏の参院選。全国で240万人の「新有権者」がうまれ、県内でも生徒の投票を促そうと、学校や自治体が多彩な啓発活動を実施。学校での「主権者教育」のあり方を巡る議論が活発になるなど、いつになく「若者と政治」の関係にスポットライトが当てられた。
そんな中、今年4月から奈良市立一条高校の校長に就いた藤原和博さん(60)から聞いた話には、ほかの誰とも違う視点が含まれていた。「18歳選挙権の導入は『大人とは何か』を考えるいい機会」―。酒やたばこは20歳から、車の運転は18歳から、結婚できるのは男性18歳、女性は16歳以上…。法律で区切られたさまざまな年齢の境界線がある中、「大人と子供の境目は何か」という藤原さんの問いは、容易には答えを導き出せない、哲学的な要素を多分に含んでいた。
その答えを探るヒントが、今月9日に同校で開かれた18歳選挙権を考える討論会の中にあった。討論会は、藤原さんが発案した社会の仕組みを学ぶ「よのなか科」の一環で開催。この日は生徒自身が授業を企画し、地域住民も含め約60人が参加した。
代表生徒3人はまず「担任・上司に求める条件」といった身近なテーマを糸口に、「議員に求める条件」へと議論を展開。そして、政治資金の「公私混同」で批判を浴びて辞職した舛添要一前東京都知事を取り上げた。
司会進行リーダーで3年の矢部達大さん(18)は、舛添氏が当選した平成26年の東京都知事選の投票率が46%だったと紹介し、「投票に行かなかった人は、舛添さんに文句を言うことができるだろうか」と問題提起。そして、議論を主権者としての「権利」と「義務」の関係性へと発展させていった。
個々の具体的な話題から、「権利・義務」といった抽象的なテーマに落ち着ける議論の流れは、高校生とは思えないレベルの高さ。翌日、初めての投票を終えた矢部さんは電話で、「主権者としての義務を果たせたと思う」と、うれしそうに話してくれた。
この討論会を通じて、生徒たちから「大人」の定義の1つを教わったように思う。大人とは、ある年齢を越えた人間の「存在」を言うのではなく、自身の言動に責任を持てる、人間としての「姿勢」や「あり方」のことを言うのではないか、と。(浜川太一)
【関連記事】
【参院選】橿原29%、生駒57%、王寺51% 10代投票率、割と高かった
【参院選】18、19歳は2万7967人 選挙人名簿登録者 総数は約116万5000人
【参院選】どうなる?投票率 若年層の行動カギか 陣営から「関心薄い」の声も
産経新聞の試し読み、ご購読はhttp://sankei-nara-iga.jp/koudoku.html



































