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【私の働き方】地域と楽しく暮らす生き方模索 作遊所かかしの家施設長、小野加代子さん


 重度の障害をもつ三男の出産を機に、障害者が地域のなかで共生できるようにと活動してきた、生活介護事業所「作遊所かかしの家」施設長、小野加代子さん(74)。4人の子育てをしながら「どんなに重い障害があっても〝普通〟に生きてほしい」との思いでNPOを立ち上げ、地道に取り組んできた。奈良市の小高い丘にある「かかしの家」では今、そんな思いが実を結び、「障害者と共生する地域社会」が実現しつつある。

「いつも夢を持たせてもらっている」と話す小野加代子さん

「いつも夢を持たせてもらっている」と話す小野加代子さん

 ■社会の現実に直面

 大学卒業後、24歳で9歳上の夫と見合い結婚し、奈良市に移住。すぐ2男1女に恵まれた。

 37歳のとき。出産した三男、剛志さんはてんかんの発作を頻繁におこした。病院で精密検査を受けた結果、染色体の異常も判明。医師からは「生きられて2年」と宣告された。

 〝仕事人間〟だった夫に、家事や育児への協力は期待できなかった。教員免許を持っていたが、障害がある子供への対応は素人。そこで、仏教大の特殊教育学科を通信教育で学び、養護学校の教員免許を取得。「苦しいけど〝楽しい〟にしないと」と前向きに取り組む中、直面したのは「共生」にはほど遠い社会の現実だった。

 地域の保育園に通わせたが、長男が背負って一緒に買い物に行けば、周囲の視線が「痛くて」外出が億劫に。子供会で朝の清掃活動をした際、剛志さんのよだれが手にかかった女の子が「うつる」と取り乱したこともあった。

 だが、長男は「何で恥ずかしがるの」。近所の人も「何もできないかもしれないけど、頼って」と声をかけてくれた。こうした言葉に、「『一緒に生きていこう』という思いになっていった」と振り返る。

 ■卒業後の生きる道を

 「剛志に出会ってふれあい、知って、かかわってもらうところまでは私の務め」。この思いを胸に、子供会や婦人会の役員を積極的に引き受けては、剛志さんの話をした。前に立って進むことで、徐々に周囲の子供たちの目の色が変わってくるのを肌で感じた。

 剛志さんが小学5年生になったとき。講演会で出会った医師に「剛志君にどう生きていってほしいか」と問われ、すぐに答えられなかった。「お母さんの考え方が、剛志君の生き方になる」と言われた言葉の重さに、考えさせられた。

 結局、これが人生の転機になった。「子供らが卒業後、安心して生活できる場をつくろう」と決意、作業所開設に向けて準備を始めた。

 近くのスーパーに頼み込み、協力が得られた県内の作業所の授産品などを売るバザー「ふれ愛福祉市」を開催。口コミで徐々に広まり、いつしかスーパーの集客も3割増しになる人気イベントに。約12年間続けたほか、廃品回収なども行い、こつこつと開設資金を集めた。

 ■地域と積極的に交流

 平成10年3月、剛志さんは養護学校を卒業した。翌4月、養護学校長だった向野幾世さんと奈良市内の民家の離れを借り、作業所を立ち上げた。

 だが、周辺からは「地価が下がる」「違和感がある」など、さまざまな反発の声が聞こえてきた。理解を得た上で立ち上げたはずの施設。「総論賛成でも、各論反対なのか」と現実の厳しさを思い知らされた。

 それでも、デンマークやオーストラリアなど海外の障害者施設について学び、「地域を耕してあの子たちが笑えるように」と奮起。当初はたった2人だった利用者も徐々に増えたため、25年には現在地に新築の「家」を構えた。

 現在の利用者は19~55歳の男女。いずれも重度の知的・身体・精神障害をもつ。「楽しい生き方探しの場となって」との思いから名付けた「作遊所」ではみそのほか、特許も取得した5色の「遷都餅」など約9種類の授産品を作り、全国にも発送。「一つの仕事を10等分すれば、必ず重度の人たちもやれる仕事がある」と言い切る。

 近隣小中学校の生徒らの見学も受け入れるほか、テラスは地域に開放。地域住民との交流も積極的に行っている。男女9人が生活するケアホームは築46年と老朽化が深刻なため、西隣に新築予定だ。「地域の中で、子供たちがずっと住める住み家をつくっておきたい」と、募金も集める。

 「たくさんの人に出会って、いつも夢に向かって生きさせてもらっていることは大もうけ」。はつらつとした笑顔で、また前進する。(山﨑成葉)

 小野加代子(おの・かよこ)さん 昭和17年生まれ。山口県下関市出身。40年に京都女子大教育学科を卒業し、24歳で会社員の夫と見合結婚。重度の障害がある三男の出産を機に、障害者と地域の共生に向けた活動を始める。平成10年、無認可作業所「かかしの家福祉作遊所」を開設。19年、NPO法人「かかしの会」を設立し、25年に現在地に「作遊所かかしの家」を新築移転させた。

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