奈良県で産経新聞の購読試読・求人案内。

産経新聞 奈良県伊賀地区専売会産経新聞 奈良県伊賀地区専売会

産経新聞グループ各紙のご購読はこちら 0742-24-2214

専売会について専売会について各専売店の紹介各専売店の紹介地域貢献地域貢献求人内容求人内容購読・試読サービス購読・試読サービス

sanbai-02.jpg

奈良少年刑務所をにぎわい拠点に ホテル、博物館…プラン続々


 今年度限りでの廃止が決まった奈良少年刑務所(奈良市)。歴史的な建物を生かした活用法が議論されている。保存・活用にあたっては民間事業者に運営権を移すことが決まっており、耐震改修を施した上でホテルや博物館として再生する案が浮上。地元では「活性化の拠点になれば」と期待されている。(山﨑成葉)

■最後の五大監獄

 県庁から約1キロ北の住宅街にある奈良少年刑務所。重厚なレンガ造りにドーム屋根をもつアーチ型の表門、庁舎から放射状に5つの収容棟がのびる構造が特徴的だ。

中央監視所からは収容棟の出入り口が見渡せる。上部には明かり取り窓も

中央監視所からは収容棟の出入り口が見渡せる。上部には明かり取り窓も

 明治政府が「近代化」をアピールするため、旧司法省技官の山下啓次郎が設計。明治41(1908)年に「奈良監獄」として完成した。同時期に鹿児島や長崎、金沢、千葉でも監獄が建てられ、奈良を合わせて「五大監獄」といわれるが、当時の姿をとどめるのは奈良のみだ。

 山下は欧米8カ国で約30カ所の監獄建築を視察しており、先進技術や意匠が随所に取り入れられている。一貫しているのは「合理的」な設計。5棟の収容棟(いずれも2階建て、居室計515室)は中央監視所が大きなホールになっており、出入り口を見渡せる。収容棟には柱がなく、居室の端から中央監視所まで〝死角〟がないのも特徴だ。

 中央監視所や収容棟の廊下には至るところに明かり取りの天窓が設置され、柔らかな光が入る。刑務所にこうした窓が造られることは珍しいという。法務省の担当者は「山下は『刑務所建築』と対極にある『神殿建築』の機能を取り入れた。『何か受刑者に働きかける力がある』と考えたのではないか」と推察する。

 建設は大半が受刑者らによって行われたといい、丁寧な仕事ぶりが見て取れる。収容棟の壁や刑務所を囲むレンガ塀は、下方の色が濃い。下方のレンガに塩を多くまぜて強度を高くしているためだ。軒下も石材で装飾し、収容棟と接続する中央監視所にはドーム屋根を施すこだわりぶりだ。

■民間資金生かし

 だが現役最古の刑務所は経年劣化が進み、耐震補強の必要性が指摘されていた。そこで、刑務所としては閉鎖し、建物は「内部を含め、建物の構造を生かした形で活用する」(法務省)方針が示された。

ドーム屋根をもつ「奈良少年刑務所」のアーチ型の表門

ドーム屋根をもつ「奈良少年刑務所」のアーチ型の表門

 同省が昨年行った調査では、奈良はホテルが少ないことから「ホテルだと事業性が見込める」との結果が得られたという。耐震改修費は36億円以上と見込まれ、所有権は国のまま、民間資金を生かすPFI方式の採用を決定。重要文化財に指定されれば耐震改修費の半分は国が負担し、残りを運営する民間事業者が負担することになる。

 これまで刑務所が重文指定されたのは旧網走監獄(北海道網走市)のみ。明治42年に火災で大半を焼失した後、45年に再建され、木造の放射状舎房が完全な形で残る。明治期の木造監獄の数少ない保存例として歴史的価値が高く、重文には今年指定された。建物は昭和58年から公益財団法人が博物館として運営、公開されている。

■地域と身近に共存

 全国に7カ所ある少年刑務所の中でも、奈良少年刑務所は、こまやかな矯正教育で知られてきた。

 昭和29年に職業訓練施設「若草理容師養成所」が開設され、本格的な職業訓練を開始。翌30年に理容科の資格取得に向けた実習の場として、「若草理容室」が開設された。

 現在はほかに介護福祉や建築、情報処理技術など13種類の職業訓練を実施。再犯防止や社会復帰の手助けとなるよう知識や技術、資格の取得を促してきた。現在、26歳未満の初犯の男性受刑者を中心に約400人を収容(定員696人)しているうち、約4分の1が職業訓練を受けている。

 重文指定による保存・活用を求め活動してきた地元の般若寺町自治会の小井修一会長(79)は「特異な形の門構えと外国のお城のようなレンガ塀。威圧的な刑務所というのではなく、地域と身近に共存する関係性があり、プラスのイメージの方が強かった」と話す。保存・活用に向けた機運を高めた一端は、住民らのこうした声にあった。

■更生教育を継承

 平成26年には、保存を求める市民団体「近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会」が発足。世界的ジャズピアニストで、設計者の孫にあたる山下洋輔さんが会長に就いた。山下さんは、耐震改修後の建物でジャズコンサートを開きたいと話しているという。

収容棟の廊下には天窓が。居室の木製ドアも当時のままだ

収容棟の廊下には天窓が。居室の木製ドアも当時のままだ

 活動の呼びかけ人の一人で奈良市在住の作家、寮美千子さん(60)は19年から改善指導の一環として、受刑者を対象に「詩の授業」を月1回実施。当初は尻込みする気持ちもあったが、授業を続けるうち「彼らに会えるのが楽しみになり、世界観が変わった」と振り返る。

 授業は9月で終わったが、同会が法務省に提出した要望書は「カルチャースクールや困難を抱えた少年少女を受け入れ、心を癒やし、居場所となるような場を設定してほしい」としている。寮さんは「歴史ある建物だけでなく、その中ではぐくまれてきた更生教育を継承し、成果を一般社会に還元する場としてもらいたい」と力を込める。

 保存・活用を求めて活動してきた周辺34自治会でつくる鼓阪地区自治連合会の横田利孝会長(75)も「誇るべき奈良の近代遺産。歴史を生かした形でにぎわいの施設としても活用し、まちの活性化につながれば」と期待する。

 法務省は年内に事業者の公募を始める予定。平成31年秋ごろにも、歴史的な意匠を生かした新しい施設が誕生する見通しだ。

【関連記事】

「歴史的価値の高さ感じた」 金田法相が奈良少年刑務所視察

最後の矯正展にぎわう 杉良太郎さんらも視察 奈良少年刑務所

【鹿角抄】奈良少年刑務所建物を重要文化財に 町おこしに生かせるか

近代化のシンボルを重要文化財に 奈良少年刑務所指定へ自治会が要望書

産経新聞の試し読み、ご購読はhttp://sankei-nara-iga.jp/koudoku.html

求人情報求人情報
購読・試読のお申込み購読・試読のお申込み
お問い合わせお問い合わせ

産経新聞各紙
産経新聞産経新聞
サンスポサンスポ

グループ各紙
月刊TVnavi月刊TVnavi
MOSTLYMOSTLY
正論正論
週刊ギャロップ週刊ギャロップ

読もうよ新聞読もうよ新聞

野球教室