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【鹿角抄】ワイズユースで自然守ろう 大台ケ原を歩いて考えた


 今年から新たに国民の祝日に加わった「山の日」(8月11日)に、環境省近畿地方環境事務所主催の「自然再生ツアー」に同行、大台ケ原を歩いてきた。

枯れたトウヒの木が立ち並ぶ登山道を歩くツアー参加者

枯れたトウヒの木が立ち並ぶ登山道を歩くツアー参加者

 大台ケ原を訪ねたのは初めて。歩いたのは「初心者でも大丈夫」という東大台ケ原の自然観察路。環境省の自然再生事業に助言する自然再生推進委員でもある奈良教育大の松井淳教授(植物生態学)の解説を聞きながら、大台ケ原ビジターセンター(上北山村)から正木峠まで2キロあまりを往復した。

 実は、大台ケ原では植生、生物多様性の衰退が急速に進んだという。環境省などによると、昭和34年の伊勢湾台風などで多くの木が倒れ、森の中が乾き始めてコケのかわりにササが増えた。ササを餌にするニホンジカが増えすぎ、シカが木の皮や稚樹を食べることで木が枯れ、新たな木も育たなくなって森の環境が変わったのだという。

 正木峠は大台ケ原の中でもよく知られた場所。立ち枯れたトウヒが並ぶ風景は幻想的で美しくさえ感じられるが、ここも50年ほど前は苔むした森だったという。ものすごい変貌ぶりに信じられなかった。

 印象的だったのは、あちこちでみられた「防鹿柵」。シカが一定の区域に入らないよう設置された柵で、多くの木の幹にはシカの食害防止の金属や樹脂製のネットも巻き付けられていた。環境省の自然再生の取り組みで、防鹿柵で囲われた中には「トウヒの稚樹が健全に育ち、50年後には森になっているかもしれない」という場所もあった。

 ただ、かつての健全な森が保たれた大台ケ原に戻るには、長い取り組みが必要なようだ。松井教授は「森が壊れかけている最前線を何とか守り、それを(以前の健全な状態に)押し戻していくようなやり方しかないかもしれない」と話す。

 大台ケ原を訪ねる私たちにも課題はある。「植生保護のために歩道以外の場所には入らない」「ごみは持ち帰る」など当たり前のマナーを守り、「ワイズユース(賢明な利用)」をすることが大事なのだ。(山本岳夫)

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