東大寺要録に迫る グレイト・ブッダ・シンポジウム開かれる
「古代東大寺の世界|『東大寺要録』を読み直す」をテーマにした「第14回ザ・グレイトブッダ・シンポジウム」が19、20日、東大寺の金鐘ホール(奈良市)で開催された。基調講演では栄原永遠男・東大寺史研究所所長(古代史)が、平安時代後期にまとめられた「東大寺要録」の構造や内容に迫った。
「東大寺要録」は東大寺を研究するうえで欠かせない歴史書として知られ、平成24年度から栄原所長のもとで研究が進められてきた。シンポジウムではこの研究内容などが報告され、栄原所長は「『東大寺要録』は何を引用したか」と題し講演。要録には後に追補された部分があることを説明し、「本願章」では「聖武天皇伝」や「孝謙天皇伝」などが本来のものとみられるとした。
また、「聖武天皇伝」などの内容については、長屋王の変などの歴史的な重大事件が書かれず、東大寺も大仏と大仏殿のことが中心であることから「一般的な東大寺の歴史でなく、聖武天皇家が仏法を興隆し、盧舎那仏(大仏)と大仏殿ができたこと、高僧も関わりがあったことを強調している」などと指摘した。
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