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【鹿角抄】見落とした大切な視点 いつまでも「移住者」じゃない


 先月、東京から17年前に県内へ移住した梶谷哲也さん(42)を取材するため、黒滝村を訪ねた。奈良市内から車で約2時間半。村は雲に覆われていたが、ときおり差し込む陽光に、稜線を照らされた山並みがとても美しく、思わず見入ってしまった。

 梶谷さんは村の森林組合で現場作業員として日々、山仕事に汗を流す一方、チェンソーを使ってスギの木から彫刻作品をつくる「チェンソーアート」を手がけるなど、多彩な才能を持つ。昨年9月に橿原市で開かれた紀伊半島大水害の復旧・復興シンポジウムで、パネリストとして田舎暮らしの魅力を語る梶谷さんにいつか直接話を聞いてみたいと思い、取材を依頼した。

慎重な手つきでスギの木からイヌを掘る梶谷哲也さん

慎重な手つきでスギの木からイヌを彫る梶谷哲也さん

 大学卒業後、24歳という若さで単身、村に移住したのはなぜか。苦労したこと、帰りたいと思ったことはないのか―。次々と尋ねた質問に、梶谷さんは都心のビルに囲まれて育った幼少期やそのときに芽生えた自然への憧れ、村で思い通りの生活ができている幸福を、1つ1つ笑顔で話してくれた。

 取材から1週間後、梶谷さんが日々の思いをつづっているブログ「出来杉計画」(杉のために出来る事をスギスギ〈次々〉やって行くの意)を読むと、そこには長年取材を受けてきて感じたという、梶谷さんの率直な思いが記されていた。

 「『東京からやってきて、山村で頑張っている人』という『定位置』から全然抜けられていない」「いつか自分の仕事っぷりを取材されるようになりたい」「つまり、まだまだ全然努力が足りない…」

 なるほど、取材する側として完全に見落としていた視点だったと反省した。

 移住が近年広がってきたとはいえ、まだ数は少ない。そのため、どうしても移住という行為自体に目が向いてしまうが当事者にとっては、移住という決断の先で得た新たな経験や技術こそ、本当に語るべきことなのだろう。移住者はいつまでも移住者ではないのだと思った。

 山で働く人のことを「山行」と呼ぶという。梶谷さんは村での暮らしを「山に生き、山に生かされ、山を活かす」日々だと話していた。次は「移住者」ではなく、「山行」としての梶谷さんの仕事を見ることができればと思う。
(浜川太一)

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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