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【まちの近代化遺産】大正時代のエレベーターも 宮本延寿堂


 「薬の町」の面影を伝える古い町並みが残る高取町清水谷に「宮本延寿堂」(延寿堂製薬)の工場がある。木造2階建てのレトロなイメージで、郷愁を感じさせてくれる建物だ。現在は使われていないが尖塔のようなエレベータ棟もあり、その特徴的な姿が静かな人気を集めている。

エレベーター棟を持つ宮本延寿堂の工場

エレベーター棟を持つ宮本延寿堂の工場

 宮本延寿堂は明治37年の創業。主力製品は動悸、息切れなどに効能を持つ「六神丸」で、最盛期には数十人の従業員を雇う町内有数の事業者だった。しかし、大手製薬メーカーの台頭などで、平成8年に廃業した。

 工場は南北に細長い2階建ての建物。大正時代(3~11年ごろ)の建築で、内部が漆喰仕上げの1階が、丸薬・頓服の製造場だった。つくった薬は屋上や平屋部分の屋根で天日乾燥させていたという。

 エレベーター棟は、薬を屋上などに運び上げるエレベーターのための施設で、高さ約9メートル。金属板葺きの宝形屋根のユニークな形は、西洋風建築をイメージさせる。その中には、県内初とされるエレベーター(ドイツ製)が設置されていた。

宮本延寿堂の商標看板

宮本延寿堂の商標看板

 この工場を建てたのは、創業者の宮本喜造。孫の宮本佳胤さん(74)は「エレベーターは今は撤去されているが、子供の頃に一度、乗ったことがある。設置された当時は最新式の施設だったと思います」と話す。

 宮本さんによれば、祖父の喜造は「大きなものが好きな、進取気鋭の人物だった」という。宮本家はもともと医師の家系で、喜造は自ら製薬に乗り出し、一代で大商店をつくりあげた。工場にはそうした喜造の気概が表れているようだ。

 工場南側の平屋の増築部分にはボイラー室があり、そこで湯を沸かし、全館を暖房するという当時最新のシステムを取り入れていた。また、工場の軒回りには帯状の装飾「エンタブラチュア」が施され、建物全体の装飾性を高めている。

 工場は高取町の薬業発展の歴史を伝える重要な遺産。雑誌やネットでも紹介されており、レトロ建築に興味を持つマニアや、建物をスケッチする人たちなどが訪れている。宮本さんは「祖父が建てた貴重な建物をこれからも大切にしていきたい」と話した。(野崎貴宮)

装飾性がある工場の窓部分

装飾性がある工場の窓部分

 ■ひとくちメモ 高取町では飛鳥時代、推古天皇が薬草狩りを行ったとされる。江戸時代から本格化した薬産業は明治、大正期を経て大きく発展。昭和35年の統計では34の製薬業者と217の売薬業者がいたという。町内のくすり資料館では薬産業の歴史が紹介され、薬のパッケージや製薬に使う道具などを見ることができる。町は「薬の町高取」復活プロジェクトを立ち上げ、大和トウキなどの薬草栽培に取り組んでいる。

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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