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【まちの近代化遺産】日本林業の父・土倉庄三郎の功績感じ 五社峠


 川上村と吉野町を結ぶ「五社峠」は、現在の川上村大滝に生まれ育ち、「日本林業の父」「日本の造林王」とたたえられる土倉庄三郎(1840~1917年)が吉野町樋口と川上村西河とを結ぶ峠に開設した約1キロの荷車道。村の発展はもとより、明治期の日本の成長にもかかわった重要な近代化遺産だ。

路肩下に石積みが施された五社峠の道

路肩下に石積みが施された五社峠の道

 明治16(1883)年までに完成。川上村史によると、それまで村民らは生活物資や生業に必要な品物を買うために現在の吉野町に行く際、河原の石道や山の尾根道を歩いていたという。「こうした道さえも降雨で増水すれば簡単に途絶したから郷民が近路、易路を求める願いは強かった」と、荷車道に寄せられた期待の大きさが記されている。

 土倉庄三郎は10代で山林経営の家業を継ぎ、大滝郷総代や伐採した木を運搬する際の監督役・吉野材木方総代を務めた。新政府からは、水陸海路御用掛に任命され、明治6(1873)年に五社峠の開設を計画。山林所有者に出資を働きかけたがうまくいかず、工事は一度中断するなど、完成までには苦労も多かった。

五社峠の開設に尽力した土倉庄三郎の銅像

五社峠の開設に尽力した土倉庄三郎の銅像

 土倉を顕彰し、地域づくりに貢献しようと村民らが設立したNPO法人「芳水塾」の松本博行・副理事長(57)=同村大滝=は、「生活物資を運ぶのに難儀をしていた村に五社峠ができ、荷車が通れるようになって、村民の暮らしがすごく良くなった」と話す。

 県教委が実施した県近代化遺産総合調査で、調査員として平成24、25年度に五社峠を調査した道路史研究家の永冨謙さん(41)によると、明治33(1900)年ごろには五社峠の川上村側に、別ルートの新しい道も完成した。そして大正9(1920)年、吉野町~川上村間の別の道が県道指定されたことで、五社峠は廃道になったという。

 永冨さんは「大規模な岩切り取り道が続き、圧倒される。明治期の荷車道が、麓から峠まで全体的に今も残っているのは貴重」と評価する。

 歩いてみると、吉野町側の道は今も林業に使われているため、コンクリート舗装されている。だが川上村に入ると一変し、岩盤は一部むき出し、石も転がっている。路肩下には、斜面に道を造るために積み上げたとみられる石積みも残り、かつての荷車道の面影が色濃く残っている。

 土倉家所有の吉野の山林は最盛期には9千ヘクタールもあり、大財閥「三井家」に並ぶ財力を誇ったとされる。土倉は「三分の一は国のため、三分の一は教育のため、三分の一は事業のため」との信念で多くの人を支援。自由民権運動の先頭に立った板垣退助に洋行費を、同志社大前身の同志社英学校を設立した新島襄に大学開設資金を寄付するなどし、板垣や新島も土倉家を訪れる際は、五社峠を通ったとみられる。

落ち葉が降り積もった五社峠の道

落ち葉が降り積もった五社峠の道

 松本副理事長は「もっと多くの人にここを歩いてもらえるようにしたい」と、芳水塾のメンバーらと峠の草刈りや倒木撤去などにも取り組む。「土倉庄三郎という偉人が生まれ育ったところであるということを知り、その誇りと、ここで暮らしていく意義を村民にも感じてもらえれば」と話した。(山本岳夫)

 ■ひとくちメモ 今年は土倉庄三郎の没後99年で、6月には百回忌法要や没後100年記念式典が営まれた。川上村大滝には土倉庄三郎の生家跡や銅像、岩に「土倉翁造林頌徳記念」と刻まれた高さ約23メートルもある磨崖碑がある。

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