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【まちの近代化遺産】伝統の墨づくり支える近代和風建築 奈良市の「古梅園」


 店内に一歩入ると墨の香りが漂い、商品の一つ一つに職人技と歴史が感じられる。奈良市の奈良町の一角、天正7(1577)年創業の墨製造販売老舗「古梅園」はある。培われてきた墨づくりの伝統は、建物とともに長年守られてきた。

明治33年に掲げられた「古梅園」の看板が歴史を感じさせる

明治33年に掲げられた「古梅園」の看板が歴史を感じさせる

 「古梅園」の建物は、近世の町屋の面影を色濃く残しつつ、大正時代の意匠も取り入れた近代和風住宅として、国の登録有形文化財に登録されている。「建物に興味を持って、店をのぞくお客さんもいる。いつごろ建てられたのですか?と聞かれることはしょっちゅう。建物の魅力ってすごいですね」と同社の袋亜紀さん(44)は話す。

 東側の店舗や事務所、西側の工場などからなる建物は、明治から昭和期に建てられた。株式会社となった大正初期に現在の様式がほぼ整ったとされる。

 道路に面した2階建ての店舗でまず目につくのが、明治33年から掲げられている「古梅園」の看板だ。古都・奈良の景観に調和した屋外広告を表彰する県の「なら景観調和広告賞」の歴史的広告活用部門で、優秀賞にも選ばれた。

 格子窓や黒しっくいの壁なども特徴的で、落ち着いた雰囲気を醸し出し、奈良町の上質な近世商家の姿を今に伝える。袋さんは「墨はまるで生き物。変化に敏感だからこそ、建物とともにこの環境をずっと維持していきたい」と話す。

かつての台所の土間。職人らが食事をとっていたという

かつての台所の土間。職人らが食事をとっていたという

 一方、西側の墨づくりの工場には、脈々と受け続けられてきた伝統の職人の世界が広がる。

 今は30代半ばからもうすぐ退職を迎える5人の職人が墨づくりに携わっているが、その工程は昔から変わらない。墨を自然乾燥させる蔵には、天井からワラでつるされた約1万個の墨がずらり。ここで半月から3カ月ほどかけて乾燥させ、表面に付着している灰などを水で洗い落とした後、貝殻で磨いていく。「すべて自然の原料で、手作業でつくられていく。職人は体力勝負です」(袋さん)。

 敷地内にいると、時間が止まったかのような感覚に陥る。大正初期に建てられたかつての台所や、明治期に建てられた倉庫…。墨などを運ぶトロッコのレールも敷かれており、今でも運搬に使っている。建物には防虫や防水機能強化を目的に、墨が塗られているという。

 とはいえ、古い建物を維持するのは容易ではない。雨漏りや台風の修繕など、日ごろからこまめに手をかける必要があるが、「いい墨を生み出すためにも、伝統の建物も大切に守り続けていきたい」(袋さん)。400年以上変わらない墨づくりは、今も昔も伝統をつなげていく熱い思いによって受け継がれている。(有川真理)

今も墨の運搬に使われているトロッコのレール

今も墨の運搬に使われているトロッコのレール

 ■ひとくちメモ 古梅園(奈良市椿井町7番)は、近鉄奈良駅から徒歩約6分、JR奈良駅からは約10分。11月~4月末には、職人が練ったばかりの墨を手で握る「にぎり墨」の体験や製造過程の見学もできる。要予約で4千円(税抜き)から。営業時間は基本的に平日午前9時~午後5時。問い合わせは同社(☎0742・23・2965)。

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