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【あのまちこんな店】息の合った夫婦で作る「一生もの」 奈良市の横田洋傘店


 奈良市内で風情ある街並みが残る高畑町の一角に佇む老舗洋傘店「横田洋傘店」。自宅兼店舗の出窓越しに、4代目の横田仁史さん(83)と妻、千枝子さん(77)の息の合った仕事ぶりが見える。夫婦が半世紀にわたり作り続けてきたのは、骨、生地、手元のすべての素材にこだわった「一生もの」の傘。だが、近年は職人の衰退で材料の調達も困難になりつつあり、老舗は今ある材料がなくなれば〝引退〟する方針を決めた。

夫婦共同で洋傘を作り続けてきた横田仁史さんと千枝子さん

夫婦共同で洋傘を作り続けてきた横田仁史さんと千枝子さん

 ■老舗洋傘店として

 創業者は仁史さんの曽祖父。大阪・心斎橋近くで洋傘の製造販売を始めたところ「パラソル人気」の波に乗り、事業を拡大。先代の父は実弟に店を任せ、事業拡大を目指して家族を連れ、台湾に渡った。

 一家は終戦の翌年に帰国。橿原市内にあった母親の生家の離れを借り、洋傘製造を再開した。当初は材料集めに苦労したが、「心斎橋でやっていた横田さんですか」と職人らが注文を受けてくれるように。つてを頼り、ミシンやパーツの材料を集めた。

 昭和23年に現在地へ移転。翌年中学を卒業した仁史さんはすぐに手伝い始めた。父が生地の裁断、母が縫製、仁史さんらはそれ以外の工程を担った。仁史さんは主に〝外回り〟を担当、自転車で桜井や天理、五條など県内各地の小売店に卸して回ったという。

 ■家族総出で傘作り

 高校教諭の兄が教え子だった千枝子さんを紹介し、29歳で見合い結婚。自宅兼店舗で8人暮らしの生活が始まり、仁史さん夫妻は2階の仕事場で寝泊まりした。

 炊事や洗濯、掃除は当番制。食事の支度だけでも大変だったが、「大勢で集まるのが大好き」という千枝子さんはすぐにとけ込み、朝9時から夜9時まで家族総出で仕事に打ち込んだ。

 商売も傘作りも初めてだった千枝子さんは、周りから聞こえる手際の良い針の音に焦りつつも、「負けん気の強い性格で『できないはずはない』と取り組んだ」と振り返る。

 仁史さんが40歳を過ぎたころ4代目を継ぎ、夫婦で仕事を仕切るように。それまでは多いときには週数百本の注文を受け、ビニール傘からジャンプ傘、学校や旅館の傘などあらゆる傘作りをしてきたが、「こだわり」の傘作りへと転換させていった。

 ■こだわりの〝一生もの〟

 転機となったのは、平成7年の阪神淡路大震災。不景気で注文が減り、学校などの注文では採算がとれない状況に。そこで「着なくなった着物」に注目し、〝思い出の着物〟を持ち込んでもらい活用することを考案。次第に評判が広がった。

 素材へのこだわりは徹底した。骨は日本製、ろくろは真鍮、心棒はカシの木を使用。日傘の生地は麻のみで、雨傘は通気性よく乾燥しても縮みにくいポリエステルを使っている。

 「開くとカチッといい音がするでしょう」と千枝子さんは手製の傘に目をやる。通常の傘より骨の本数も多く、「丈夫にきれいに開く工夫」だという。

 一方、近年は職人の廃業も相次ぎ、そうしたパーツをそろえることが難しくなってきた。「こだわりを崩してはできない」「よそと同じ傘を作ったのでは〝こだわりの傘〟とはいえない」と、夫婦は今ある材料がなくなったときには〝引退〟すると決めたという。

 「酔っ払って忘れても持ち主に返ってくる」ほどのこだわりの逸品は、「何十年経っても、うちのはひと目でわかる」と仁史さんは話す。半世紀にわたる夫婦の共同作業で作られてきたこだわりの傘。「けんかしててもできへんからね。2人で1本の傘作るから、日本一仲良しですよ」と千枝子さんはほおを緩めた。

 「〝一生もの〟として使ってほしい」と、今後も修理は続けていくつもりだ。(山﨑成葉)

 横田洋傘店(奈良市高畑町)=近鉄奈良駅から南東に徒歩約20分。バス利用の場合は奈良交通バス「奈良ホテル」下車、徒歩2分。土曜・日曜・祝日定休。営業時間は午前10時~午後5時。(☎0742・22・7093)。

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(関西のニュースは産経WEST http://www.sankei.com/west/west.html)

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