生駒のフリーカメラマン・保山さん24日にチャリティー上映会 なら国際映画祭に寄付
奈良市の今年度当初予算で補助金が全額カットされ、5月末までに1千万円を目標に寄付を募っている「なら国際映画祭」を応援しようと、生駒市在住のフリーランスのテレビカメラマン、保山(ほざん)耕一さん(52)らが24日、奈良市内でチャリティー上映会を開く。入場料は2千円以上で、ほぼ全額が映画祭に寄付される。
保山さんは平成25年夏に直腸がんが判明し、医師から「余命2カ月」と宣告された。治療してくれる病院を見つけ、手術を受け、成功したが、後遺症により日常生活も困難で、「再発すれば1年生きられるかどうか」と医師に告げられた。
そんな中、2年前の「なら国際映画祭」で、かねて親交のあった当時の理事から上映作品の推薦や作品解説などを依頼された。インド映画「きっとうまくいく」を推薦、思いを語った。
当時、仕事復帰のめども立たず「死ぬのを待つだけの状態だった」という保山さん。映画祭でのトークは好評を博し、「社会から完全に孤立していたけど、社会と繋がることができた。『あと2年生きられたらいい』状態の中、誰かの役に立てた喜びを感じた」と振り返る。
チャリティー上映会は、「生きているうちに、1番しんどいときに助けてくれた人に少しでも恩返ししたい」と考え、交流サイト「フェイスブック」で賛同者を募った。すぐに会場提供や手伝いなどの申し出があり、24日の開催が決定。昨冬から〝ライフワーク〟として撮りためてきた映像のうち、山添村や宇陀市、吉野山、如意輪寺(吉野町)などで撮影した「桜のはかなさ」や、「遺したい奈良の風景」を映した「梅と桜の大和路」を上映する。
がん告知までは「情熱大陸」や「世界遺産」などの人気テレビ番組制作を手がけてきた保山さん。今回の映像は、そのとき使ったカメラの100分の1にも満たないような安いカメラを1人かつぎ、撮りためてきたものだ。「正直、情けない思いもあった」というが、「撮っていることで、自分でいられる。カメラマンとして復帰することを目指して、撮れるものを撮っていこう」と心が固まったという。保山さんは、「奈良の人が奈良の地で発信し、新しいものが生み出される動きを応援したい」と話している。
上映会はホテルサンルート奈良(奈良市)で午前11時(満席)、午後2時、5時からの3回。各回定員40人(先着順)。上映後、保山さんと映画祭実行委理事の中野聖子さんによるトークも。申し込みは保山さんのフェイスブックか、メール(hozankoichi@gmail.com)で。
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